南部:ガザからの射撃でイスラエル兵負傷 2018.7.26

先週金曜、ガザ国境(イスラエル軍から400m)からの射撃で、イスラエル兵1人が死亡し、イスラエル軍による大規模な反撃が行われたが、25日夕刻、ガザからの射撃で、イスラエル兵1人が中等度負傷を負った。

射撃手は、子供達20人ほどの背後からイスラエル軍に向けて攻撃していたと指摘されている。

これを受けて、イスラエル軍は、ガザとの国境周辺のハマス拠点7カ所へ反撃を行った。一時交戦状態となり、ハマス戦闘員3人(27歳、28歳、29歳)が死亡した。

この後、ガザからイスラエル南部へロケット弾2発が発射され、警報がなったが、2発とも空き地に落ちて被害はなし。

www.timesofisrael.com/sirens-blare-across-south-as-pm-consults-security-chiefs-over-gaza-flareup/

この攻撃については、ハマスによるものではなく、その他の武装組織によるものとみられている。

<ガザ地区自殺増加中>

ガザでは、23日月曜だけで2人の市民が自殺を試みた。1人は女性(38)で、別れた夫のもとにいる子供に会えないことに悲観した自殺未遂。もう一人は男性で、要求された税金に抗議するための焼身自殺未遂。Times of Israelによると、ガザでは、7月に自殺者1人、3月には複数人の自殺未遂があったという。

www.timesofisrael.com/two-palestinians-in-gaza-attempt-suicide/

ガザ地区は、2014年のイスラエルとの戦争以来、国際社会の多額の支援にもかかわらず、いまだに復興が進んでいない。復興どころかむしろ、崩壊しかかっている。電気も1日3-4時間で、下水処理も不可能。もう人間が住める状態にないのではないかともいわれている。

しかし、それでも。武装勢力がイスラエルを攻撃し続けるので、イスラエルは国境を開けられない。200万人のガザ市民は、この地獄のようなガザ地区から出ることも許されない。もはや、若者たちが将来への希望をまったくみいだせない土地だという。

この状況について、BBCは、いつもながらではあるが、国境を閉鎖し続けているイスラエルにすべて責任があると非難する。

しかし、責任は、国境を閉じているイスラエルではなく、閉じざるをえない状況にイスラエルを追い込んでいるハマスではないだろうか。

2005年にハマスが来るまで、ガザ地区では、イスラエル人とパレスチナ人はそれなりに共存していた。ガザの崩壊は、2005年にイスラエルが撤退し、ハマスがガザの指導者になったからである。ガザを破壊したのは、イスラエルではなく、ハマスである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。