ガザ地区とイスラエルの国境でも衝突が多発しているが、イスラエル軍はその度にハマス拠点などガザ地区へ空爆を行っている。そのような中、イスラエル軍は、土曜夜と日曜に、新たなテロ用地下トンネル2本を破壊した。
一本は爆破だが、もう一本はラファからイスラエル領内のエシュコル地方に向かっていたトンネルで、なんらかの物質を流し込んでの破壊であった。(ハイテクによる破壊で詳細は明らかにされていない。)トンネル破壊による人的被害は報告されていない。
後者のトンネルは、2014年のガザとの戦争の時に部分的に破壊されたもので、ハマスはそれを再利用しようとしていたとみられる。
ハマスは、破壊されたトンネルについて、「もう使用していないもので、イスラエルが破壊を、勝利的に宣伝するのは、イスラエル市民への誇張だ。」と述べた。
一方、イスラエル軍からは、「ハマスは、大量のセメントや鉄、電力など、膨大な投資をしてトンネルをつくる。しかし、いくらつくってもイスラエル軍が破壊する。これまでにピラミッドを作れたのではないか。世界的な愚の骨頂だ。」と言い返した。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5177084,00.html
<イスラエル軍の新戦略?>
軍事評論家ロン・ベン・イシャイ氏によると、ガザにハマスとの戦争がますます懸念される今、南部のイスラエル軍が、新しい戦略を始めているとのこと。
それは、ガザ地区からの攻撃を受けて、報復の空爆を行う際、ハマスやイスラム聖戦の軍事施設だけを破壊し、人間は殺さないという戦略である。そういえば、最近、イスラエルが空爆しても、ガザ地区からの被害はほとんどあがってきていない。
もし、報復空爆の際に、ハマスやイスラム聖戦の戦闘員や司令官を殺してしまった場合、相手にイスラエル攻撃への大義を与えることになる。しかし、軍事施設だけを破壊した場合、大義にはなりえない。それらはもともと公にできないものだからである。
応戦して、そうした軍事施設が世界に明らかになることは、イスラエルの大義になっても、ハマスには逆に不都合となる。
イシャイ氏によると、イスラエル軍は、これを逆手にとり、ガザからの少しの攻撃であっても、大々的にハマスなどの軍事施設を破壊しているという。それは、もはや報復ではなく、先制攻撃といってもよいレベルである。
これにより、ハマスとの全面戦争を抑制し、仮に戦争になってもハマスには十分な武器がないという状況をつくる。いわば、戦争と戦争の間の作戦である。
これは北部においては、イランの武器がヒズボラの手に入る前にシリア領内で破壊してしまうという原則と同様といえる。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5177365,00.html
<石のひとりごと>
それにしても本当にどこからエネルギーが出てくるのかと思うほど、ハマスやイスラム聖戦は、執念を燃やしてイスラエルを攻撃し続ける。
イスラエル軍はハマスのトンネルを、愚の骨頂とあざ笑っているが、実はそれにハイテクで対処するイスラエル軍も相当な大金を使わされている。おそらくハマスより出費は多いであろう。
どちらが勝っているのか、負けているのか・・・ともかくも、このようなハマスの愚の骨頂は、早くやめてもらいたいものである。