国際社会が、北朝鮮の核開発問題の対応に追われる中、先週土曜23日、イランが、射程2000キロに及ぶ中距離弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表した。
これは、イスラエルが、警告し続けてきたことである。イスラエルが警告してきたことは以下のとおり。
2015年のイランと国際社会との合意で、イランが核開発を保留にする代わりに、経済制裁を緩和すると、イランには大量の資金が流入するようになった。これにより、イランは、ミサイルなど核兵器以外の通常武器の開発が進むことができるようになる。
20年先に国際社会との合意が期限切れになれば、イランは、一気に核兵器をもつようになり、開発したミサイルの弾頭に装着して、イスラエルだけでなく世界中を脅威に陥れるようになる。今回のイランのミサイル発射実験は、いわば、このシナリオを証明したようなものである。
イスラエルは、早いうちに、2015年の合意を破棄して、経済制裁を再開し、イランに資金が流れないようにする必要があると訴えている。国連総会で、イスラエルのネタニヤフ首相は、改めて危機感を表明し、国際社会が動かない場合、イスラエルは、いかなる手段でも国を守らなければならないとの決意を語っている。
トランプ大統領は、イスラエルと同様の懸念を表明し、9月の国連総会において、2015年のイランと国際社会との合意をこきおろし、アメリカはこの合意から身を引くとの可能性も示唆した。もしこれが実現すれば、アメリカは、再びイランへの経済制裁を再開することになる。
これに対し、イランは、もしアメリカが合意から脱した場合、イランもこの合意は反故にする、つまりは核兵器開発を行うとも反論していた。今回のミサイル実験は、アメリカの脅しには屈しないとする姿勢を示したものとも考えられる。
イランのミサイル実験を受けて、トランプ大統領は、「イランは、イスラエルに届くミサイルのテストを行った。イランは北朝鮮とも協力している。(2015年の)合意はあまり役立ってない。」とツイートした。
<イスラエルの反応>
イランの弾道ミサイル発射実験を受けて、イスラエルのリーバーマン防衛相は、「アメリカに対する挑発であり、アメリカと世界の脅威だ。」と語った。また、「もしイランが核兵器を持つようになれば、ミサイルの弾頭に核兵器を装填することもできる。イスラエルはこれを受け入れるわけにはいかない。」と語った。
北朝鮮問題、イラン問題と危機的なやりとりが続く。実際にいつかはこれが戦争になるのかもしれないが、それまでは、イスラエルもなんとか平和な市民生活を楽しむのみである。