今年も8月3日、第16回目になるエルサレムのゲイ・プライド・パレードが行われた。地元メディアによると、同性愛者とそれに賛同する人々2万人以上がイベントに参加した。
エルサレムは世俗のテルアビブと違い、宗教の町である。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教、どれも同性愛には反対の立場で、同性愛はタブー視されている。
日頃からエルサレムを、多様で民主的な町としてプロモートするバルカット市長だが、ゲイパレードの時は、許可は出すものの、今年も直接のコメントは出さず、距離を置いた立場を続けた。
注)パレードの参加者全員がエルサレム市民なのではなく、遠方からも来るし、ゲイでなくてもゲイを支持する人々も参加している。
<毎年増強されるセキュリティー>
2年前の2015年のゲイパレードでは、超正統派のイシャイ・シュリーセルが、パレードに参加していたシーラ・バンキさん(16)を刺し、シーラさんは後に死亡した。エルサレムのゲイパレードでは、パレスチナ人ではなく、熱心なユダヤ教徒によるテロが懸念される。
このため、セキュリティは年々強化されている。上記テロから2年目の今年、パレードはスタートになる公園と終点になる公園、その道中の道路まで完全に柵で閉鎖されており、公園の入り口にあるセキュリティを通った人だけが、パレードに参加できるようになっていた。
ゲイに反対するユダヤ教団体ハリーバ(キリスト教宣教にも反対)は、パレードがスタートする公園から100メートル以上離れた道路を挟んで反対側の公園の中に設置された特別なエリアから出られないようにされていた。
その柵のむこうからハリーバのメンバー50人ほどが、数十人の警察に囲まれながら、旗やプラカードを掲げ、「同性愛はプライドではなく、のろいだ!」と叫んでいた。しかし、まるで遠くからの犬の遠吠えのようで、ちょっとかわいそうな、しかし笑えるような光景であった。
ハリーバがいたエリアは、ゲイパレードの公園からは道を挟んで、道沿いに続く公園である。道路から10メートルほど奥に入ったところまでは無人地帯とされ、ハリーバの前には警察官が数十人、また20メートルおきに2人づつ警官が立っていた。
イスラエル・メディアが警察からの情報として伝えたところによると、このイベントでは、問題を起こしそうな12人が連行され、うち1人はナイフをもっていたという。
つい最近まで、神殿の丘でもめていたエルサレムが、その数日後には、ゲイパレードで、女装した男性が練り歩く。実に忙しい町である。
www.timesofisrael.com/thousands-march-in-jerusalem-pride-parade-under-heavy-security/