ガザ地区では、深刻な電力不足が続いている。これまでからも1日8時間程度しか電気はなかったのだが、先週、1日に3-4時間という事態になった。
これに対し、先週木曜、ガザの住民数千人が、ガザの支配者であるハマスに対してデモを行った。多数の逮捕者が出た他、ハマスは、実弾を空中に放つなど、対処に追われた。
住民らは、「支配者の失脚」を叫び、ちょうど、中東で発生した”アラブの春”のようだったという。一部のメディアでは、これを”電力インティファーダ”と呼んでいる。
ガザ市民の生活環境は改善のきざしがまったくなく、冬の寒波が到来した先月から、ガザではすでに10回のデモが発生しており、今回は、その最大規模となった。ガザ内部からハマスが打倒される可能性も含め、注目された。
ハマスは、支援者であるトルコとカタールに助けを求め、両国は、最低1日8時間は電力の供給を支援すると表明している。
<電力はイスラエルに依存するガザ地区>
ガザ地区の電力の最大供給者は、イスラエルである。イスラエルは、昨年、ガザ地区が電力不足で汚水を海に垂れ流しにしているのを受けて、あらたなガザへの電力供給ラインも設立した。
電力は通常、イスラエルが、パレスチナに変わって代理で集めている貿易上の税金から差し引かれるのだが、それでは間に合わなくなり、パレスチナ自治政府が電力の代金を払えなくなっている。そのため、新しい電力供給ラインはまだ稼働していないという。
トルコやカタールのエネルギー支援もイスラエルを経由しなければならない。そのためか、ハマスは電気が不足しているのは、ラマラの自治政府の責任であるとして、イスラエルを名指しで非難しないよう、配慮しているともみられている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4906989,00.html
<ハマスが倒れたらどうなる・・?>
ガザ地区は2007年からハマスが支配するところとなっている。もしハマスが内部から打倒された場合、最も懸念されることは、シナイ半島にいるISISがハマスに取って代わることである。
もしくは、シリアと同様、多数の超過激なイスラム組織が入り込んでくることも懸念される。
イスラエルとしては、西岸地区のパレスチナ自治政府と争って内輪もめしているハマスがガザにいる方が、都合はよい。そのため、不思議な形で、ハマスを生かさず殺さずの状態に維持するよう、人道支援は続けていく方針のようである。