金曜、トランプ次期米大統領が、在イスラエル大使に経済と法律の専門家デービッド・フリードマン氏(71)を指名すると発表した。
フリードマン氏は、強硬右派で、イスラエル支持者として知られる。アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移行するというトランプ氏の布石ともいえる。
フリードマン氏はまた、西岸地区の入植地支持者でもある。American Friend of Beit El と呼ばれる組織の長で、ラマラ近郊の入植地ベイト・エルを経済的に支援している。入植地が平和の妨害ではないと考えているのである。
二国家二民族(国を2つにわけて、イスラエルとパレスチナが隣国として共存する案)を支援するオバマ大統領、ケリー国務長官と違って、西岸地区をイスラエルが合併し、ユダヤ人が治める一国家に二民族(ユダヤ人とアラブ人)を支持している。
西岸地区を合併して、アラブ人が多数になってもまだユダヤ人国家の民主国家を維持できると考えているのである。
フリードマン氏のこうした考えは、前回お伝えした”正常化法案”(Regulation Billー西岸地区のユダヤ人入植地の合法化案)を提出している右派ユダヤの家等のベネット氏と同様である。
大使の立場で、政府の方針を変える力はないのだが、これまでの大使は、西岸地区に家を1つ立てただけで、アメリカ本国へ報告し、イスラエルへの国際的な批判にまで発展させてきた。フリードマン氏が大使になれば、このパターンが変わってくると思われる。
たとえば、入植地が拡大していても、問題視しないので、本国にいいつけることもない。また、フリードマン氏は、トランプ氏とも関係が深いため、非公式にでもトランプ氏に影響力を持つと予想されている。
Times of Israelがフリードマン氏が語ったこととして伝えたところによると、トランプ氏は、ガザ地区の小学1年生たちが、ステージでイスラエル兵をナイフで殺害し、作り物の血まで流しているのを見て、これこそが平和を妨害するものだと言っていたという。
しかし、同時にフリードマン氏が、明白な強硬右派であることから、アメリカのユダヤ人や、イスラエルの左派からもこの人選に反対する声も上がっている。
アメリカの親イスラエル・親平和主義のユダヤ人組織J streetは、平和的に二国家2民族を推進しようとしているユダヤ人グループで、この人選に懸念を表明している。フリードマン氏は、以前、このグループを「カポ(ナチス協力したユダヤ人)より悪い。」と言ったことがあるという。
www.haaretz.com/israel-news/.premium-1.759455
*フリードマン氏の宗教についての記事はみあたらないが、ウィキペディアによると、無神論者。
<国務長官はエクソンCEOを指名>
フリードマン氏がいくら親イスラエルでも、実際にイスラエルとパレスチナ、そしてアメリカ政府を行き来し、大統領とともに、事を動かしていくのは国務長官である。
トランプ氏は、ケリー現国務長官からこのポジションを引き継ぐ人物として、世界的な石油会社エクソンのCEO・レックス・ティラーソン氏(64)を指名した。
ティラーソン氏には政治的な外交経験はないが、エクソンのCEOとして、数多くの国際的な交渉を成功させている。特に、ロシアのプーチン大統領とのパイプをもつことで知られる。しかし逆に、果たして、アメリカの国益を最優先できるのかどうか疑問視する声もある。
イスラエルにどのような考えを持っているかは、現時点ではまだ不明である。
www.jpost.com/Us-Elections/Trump-Stay-tuned-for-secretary-of-state-475093