パレスチナ自治政府が、極右だと非難し、実際、史上最強の右派政権となったネタニヤフ政権だが、以下のような動きがあった。
1)西岸地区入植地へ7400万シェケル(約20億円)の予算を決定
イスラエル政府は、日曜、テロの標的になっている西岸地区入植地への支援予算7400万シェケルを認可した。これは防衛費というわけではなく、農務省、観光省、保健省など、様々な省庁から、それぞれが計上したものも含んだ支援額の合計である。
保健省は、西岸地区入植地で、心理学的なケアの要請が高まっており、その費用になるという。こうした入植地支援は、中身がなんであれ、パレスチナや国際社会からは、右派的処置ととられることになる。
2)イシバ(ユダヤ教神学校)への支援を8000万シェケル(約21億円)増額
前期政権では、税金を払う主力の中流階層の声だと主張する未来がある党のラピード党首らが国民の支持を受け、ユダヤ教正統派たちの子ども手当をカットして、一部を除くイシバ学生の従軍の義務もすすめられるなどの動きがあった。
しかし、政権が変わって以来、そのような話は少しも出なくなった。逆に、8000万シェケル(約2億3000万円)が、超正統派イシバへの支援額として増額支援されることになった。
これは、統一トーラー党を連立に引き入れるための約束事であったとのこと。これは、前政権で、ラピード氏らが、カットした分を取り戻した形になったという。
ところで、ラピード氏は、国会議員でありながら、国会への欠席が多すぎるとして6000シェケル(18万円)の罰金を言い渡された。
*イスラエルの国会では、議員の国会出席が表示されており、だれが欠席しているかが公に啓示されている。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/213817#.V2mJe6UWnA-
<エルサレム分割はやはりならない!?>
日曜、イスラエルのテレビ、チャンネル10が、左派元労働党のシオニスト陣営ヘルツォグ党首が、2015年の総選挙前に、パレスチナ自治政府のアッバス氏と秘密裏に会談し、両者が国を2つに分けることで合意に至っていたと報じた。
両者が署名した合意書によれば、エルサレムは分割。イスラエルは西岸地区の90%以上から撤退する、パレスチナ人の帰還権も一定レベルで認めるなどが含まれていた。
2015年の総選挙当時、投票直前まで、ヘルツォグ氏のシオニスト陣営が勝利するとみられていた。もしあの時、ヘルツォグ氏が勝利していれば、エルサレムは今頃、分割の途にあったかもしれないということである。
ところが選挙結果は、驚き逆転で、ネタニヤフ首相の勝利となった。
さらに、先月、ネタニヤフ首相は、ヘルツォグ氏を連立政権に引き入れて統一政権にしようとした。この話はすでにまとまったかのような報道もなされていたのだが、これもまた直前になって、逆に右派のイスラエル我が家党リーバーマン党首が、連立入りすることになり、ヘルツォグ氏は、野党代表にとどまることになった。
ヘルツォグ氏としては、紛争が続くままで、エルサレムを無理に統一しておくよりは、分けた方が、現実的だと信じていたのではあるが、結局の所、エルサレムを分割しようとする動きは、つねに阻まれてしまうようである。
以前、オルメルト首相も、パレスチナ側と同様の交渉をしていて、ほぼまとまりかかっていたというが、この時は、オルメルト氏の汚職が発覚してそれどころではなくなり、交渉は頓挫した。オルメルト氏は現在、刑務所で服役している。
このような流れの上に、今の右派政権を見てパレスチナ側は、「この政権とはいっさい交渉は不能だ。これでどうやって2国家2民族を実現しようというのか。」と指摘している。
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