これまでも指摘されていたことだが、ガザの水不足が深刻になりつつある。地下水を無作為にくみ上げすぎたため、圧力が下がって地下水層に海水が流れ込んでいるのだ。
「地球の友達・中東」ディレクターのブロンバーグ氏によると、ガザ地区の水90%に、WHOが定めた基準を超える塩分が含まれているという。ガザに行く記者も、ガザで洗髪すると髪ががさがさになると言っていた。
このまま地下水をくみ上げ続けると、2年後には使える水がなくなってしまう。
ガザの地下水はイスラエルの地下水層とつながっている。やがてはテルアビブなどの海岸地域の地下水にも影響が出てくる可能性も否定できない。
<対策は?>
昨年10月に世界銀行の支援で、ガザで第一号となる水の無塩化浄化施設が建設された。しかし、それを動かす電力が不足しているため、結局、下水は再生されず、そのまま海へ廃棄されている。
*イスラエルでは下水の70%が再生されて農業などに使用されている。
1990年代、イスラエルは、ガザ地区に水をひくパイプラインを建設している。しかし、建設しただけで、実際に水の配給は行われていない。
理由は、パレスチナ自治政府が、水道代を払わないからである。パレスチナでは、水道代は使った本人ではなく、自治政府が払うことになっている。ガザ地区はハマスに占拠されているため、自治政府が支払いを拒否しているのである。
現在、イスラエルとパレスチナ自治政府が行っている和平交渉において、このパイプラインの稼働が決まっているという。
しかし、このパイプラインが供給できるのは年間1000万立方メートル。ガザ地区では年間5000万から6000万立方メートルの水が使われている。水不足の抜本的な解決にはならない。
こうした状況だが、ガザでは相変わらずイスラエルとの国境線付近で、イスラエル軍をねらったとみられる爆弾が爆発する事件が相次いでいる。幸い兵士は守られている。