ケリー国務長官が大雪ににもめげず、昨日からイスラエルとパレスチナ入りしている。今回で就任後11回目。これこそ”鳴かぬなら鳴かせてみせよう。ホトトギス”的な執念である。
ケリー国務長官が今提示しているのは、簡単に言えば、パレスチナ国家設立にあたり、ヨルダン渓谷にイスラエル軍が、その後10年は駐留して警備にあたるというもの。その10年の間にパレスチナ人の警備隊を訓練して、いずれはイスラエル軍と交代するという案である。
ヨルダン渓谷は、地形上、ヨルダン、イラク、イラン方面とイスラエルを隔てる自然の国境線だ。ここを守ることはイスラエルにとっては絶対に譲れないポイントである。ケリー案はそれを配慮した形である。
しかしパレスチナ自治政府にとっては、結局イスラエルとヨルダン渓谷のイスラエル軍に挟まれる形となり、自由は著しく制限される可能性がある。そのため、アッバス議長はこのケリー国務長官の案に断固反対している。
「ヨルダン渓谷にイスラエル兵は1人もいてほしくない。第三者の軍が駐留するなら考えてもいい。」-これがアッバス議長の答えである。
しかし、イスラエルとて、この案に完全に同意しているわけではない。ケリー国務長官はこの両者の間を行き来して、なんとか解決策をみいだそうとしているのである。