オバマ大統領のベツレヘム訪問は、まるで天候がパレスチナ人の「歓迎しない」を現したようだった。大統領は、予定より1時間半も遅れてベツレヘムに到着。報道陣も砂嵐の中2時間はたちっぱなしだった。
ベツレヘムでは、オバマ大統領が来る前に、パレスチナ人たちが”歓迎しない”を表明するため、オバマ大統領のポスターを引き破り、踏みつけ燃やすという行為に出ていた。
そのためか、警備はかなりのもので、マーケットはほとんどすべてが閉鎖。周辺ビルの屋上には何人もの射撃手が見え、報道、見学者らも、大統領が来る直前には教会からさらに離れる位置まで押しやられた。
見物に来ていたパレスチナ人はすべて男性で、数は少なく、ほとんどの人は家にいたとみられる。子供たちやティーンの少年たちが多かった。笑顔で迎えたイスラエル人に比べ、男性たちはにらみつけるように生誕教会を見ていた。
1時間半遅れてやってきた大統領一行。結局、大統領は大勢の護衛に囲まれていてためか、別の所から入ったのか、車から降りるのも教会の中に入るのも見えなかった。(写真)
<街角インタビュー>
ある男性は「オバマ大統領はイスラエルの支援に来ただけだ。パレスチナのことなどどうでもいいのだ。私は来たくなかったが、この子(7才くらいの少年)が大統領を見たいと言い続けるので連れてきた。」と言った。ところが1時間半待てずに、親子はいつの間にか消えていた。
おみやげ屋さんの男性に、オバマ大統領について聞くと、先の男性と同じ表情で、「オバマ大統領には何も期待していない。関心は、イスラエルと、シリアやイランだ。パレスチナには全く関心がない。」とつらそうな顔で言った。
また「こんな大人物が来たら必ず、パレスチナでは何か恐ろしいことが起こる。これまでの経験からすると必ずそうなる。だからみていなさい。」と言った。
<石のひとりごと>
オバマ大統領がイスラエルの友達であるとアピールすればするほど、今度はパレスチナ人が孤立することを実感した。
パレスチナ人は全員がテロリストではない。普通の一般市民が大半だ。彼らにしてみれば、何もしていないのに、アメリカからの支援はカットされ、イスラエル軍はいつまでも家の周囲にいる。
勝手に来て挨拶もせずに去っていくオバマ大統領に、世界から見捨てられた感を感じるのも無理はない。それでも何もいわず、黙々と生きていかなければならない。
暴力に訴えるしかない一部のパレスチナ人の怒り反骨精神の中に、親に認められず、反抗を繰り返す若者の姿をみるようで、なにやら悲しいものを感じた。
おみやげ屋さんの男性が言ったように、この後、大きな暴力に発展しないよう、とりなしが必要である。