16日現地時間早朝5時、地中海に面する北アフリカのアルジェリアで、イギリスなどが運営するガス油田が、アルカイダ系のイスラム武装組織に襲撃された事件。
これまでにイギリス人1人、フランス人1人、アルジェリア人1人が死亡、外国人を含む20人(犯行側は41人と発表)が、同油田敷地内で人質となっている。
人質となっているのは日本人3人(この他に10人不明で調査中)の他、アメリカ人、ノルウェー人。アルカイダ系のテログループAQMI(イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ)の分派が犯行声明を出している。
現在、アルジェリア政府軍が敷地周辺を包囲。一時軍事介入も試みられたが、犯人らに撃退された。犯人らは、「もし軍事的に人質を解放しようとするなら、その場で殺害する」と警告している。これらイスラム主義勢力は、残酷になりうるため、非常に危険である。
<何が目的か?-北・西アフリカでイスラム武装勢力拡大深刻>
アルジェリアが位置する北および西アフリカ一帯は1990から2000年代にかけて、イスラム原理主義武装勢力の台頭が目立つ。アルジェリアでも、1990年代、政府と反政府イスラム武装勢力との闘争で15万人が死亡した経過がある。
イラクやシリアなど中東では活動しにくくなったイスラム武装勢力が、北・西アフリカへ拠点を移しているとの指摘もある。この地域では、外国人拉致事件やテロも多数発生するようになっていた。
今回の犯行グループAQMIの要求は、アルジェリアの南の隣国マリ共和国で、フランスが行っている反政府イスラム武装勢力への攻撃停止、及び、アルジェリア政府に拘束されているアルカイダ系の武装勢力1000人の解放などである。
<マリ共和国で何が起こっているか?>
政府が脆弱なマリ共和国では、特にイスラム武装勢力が活発になっている。すでに国の3分の2を武装勢力が制圧するまでの状況となった。このため、元宗主国だったフランスが、今月11日、単独で軍事介入。
13日にはフランスの空爆で100人以上が死亡し、AQMIが報復を宣言していた。フランス軍はマリで16日から地上戦に入ったところである。
<アルカイダ勢力の一致?>
今回、AQMIが国際的な要求していることからみても、北・西アフリカのイスラム武装勢力が、アルカイダの元に結集を始めたのではないかと懸念されている。
こうした武装勢力は、「アラブの春」でリビアのカダフィ政権が崩壊した内乱に参戦しており、この時にリビアから最新式の危険な武器をそれぞれ持ち帰ったといわれている。