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ワシントンでネタニヤフ首相とトランプ大統領会談・3時間
アメリカとイランの交渉をめぐる、睨み合いの緊張が続く中、2月11日(水)、ネタニヤフ首相が急遽、渡米し、ホワイトハウスでトランプ大統領と、1対1での会談を行った。
トランプ大統領が、ネタニヤフ首相と会談するのは、2回目就任以来、7回目になる。会談は、3時間。プライベートなもので、会談後の記者会見は行われなかった。

ネタニヤフ首相は、バンス副大統領、イランとの関節交渉にかかわったウィトコフ特使とクシュナー顧問とも会談。
ルビオ国務長官との会談では、ガザの平和評議会にイスラエルも参加することで署名した。
なお、ネタニヤフ首相は、来週渡米し、19日に平和協議会第一回目に出席した後、22日にAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)で演説する予定だった。
今回、ネタニヤフ首相は、会談翌日の12日(木)には、すでに帰国の途についており、首相府によると、来週の渡米は、キャンセルし、AIPAC演説はオンラインになるとのこと。
イラン問題:ネタニヤフ首相は交渉成立に懐疑的
メディアからの情報によると、両首脳が話し合ったのは、まずイランに関することである。もしアメリカがイランを攻撃することになれば、イランは、アメリカ軍基地だけでなく、イスラエルを攻撃すると言っている。イスラエルにとって、この問題は、他人事ではない。
今、今問題になっているのは、アメリカとイランの間で交渉のポイントである。アメリカは、イランに対し、核兵器を開発、保有しないこと、長距離弾道ミサイルの開発製造の製造を停止すること、反政権デモ参加市民への暴力に関する件も議題に出している。
これに対し、イランは、交渉に応じるのは、核問題だけだと主張している。しかし、イスラエルにとって、核問題のみならず、イランの長距離弾道ミサイルも問題である。
昨年6月に、イスラエルが先制攻撃して始まった12日間の戦争の際、イランは、イスラエルに多数の長距離弾道ミサイルを発射した。イスラエルアローなど、迎撃ミサイルで対処したが、全部は防ぎ切れず、イスラエル市民は大きな被害を受けた。
イスラエルはその後、新たにアイアン・ビームといったより効果的で安価な迎撃ミサイルを配備した。しかし、もしイランが、数千発のミサイルを一気に発射した場合、対処しきれない。イランの長距離弾道ミサイルもイスラエルにとっては存続問題である。
ネタニヤフ首相は、トランプ大統領に、イランとの交渉において、弾道ミサイル問題を維持するよう訴えた。またイスラエルには、防衛の必要があると伝えた。言い換えれば、イスラエルは独自にイランを攻撃することもありうるということである。
トランプ大統領は、その後の声明で、イランとの交渉は継続すると述べ、もしうまくいかなかったら、どうなるか様子をみよう」という、これまでと同様の言い方を続けている。
しかし、ネタニヤフ首相が、ホワイトハウスにいる間に、アメリカ国防省が、空母をもう一隻、中東に向けて出発させたとの情報が出ていた。イランへのさらなる圧力とみられる。
トランプ大統領は、ネタニヤフ首相との会談後、SNSへの投稿で、昨年6月のイラン攻撃は、イランが取引をしない方が良いと決断したことで、大打撃を受けた。今回は、彼らがより合理的で責任ある行動に出ることを願っている」と書き込んでいた。
アメリカはイランへの攻撃をするのか、外交だけで終われるのか?まさにトランプ大統領自身の身が知っていることである。
バンス副大統領は、アメリカが、今のイラン政権打倒する可能性について、「イラン市民がそれを実行するのであり、アメリカがそれを目標にすることはない。アメリカの目標はイランを核保有国にしないことだ」と述べた。軍事介入は否定しなかった。

ネタニヤフ首相は、翌12日(木)、帰国する直前に、空港で記者の質問に応じ、イランが、核問題だけでなく、ミサイル問にも交渉に応じることは、世界にとっても重要なことだと強調したと語った。
しかし、トランプ大統領が、イランに“良い取引”を受け入れさせる可能性があると言っていたことには懐疑的であると答えた。
ガザ問題:平和協議会参加に署名
トランプ大統領は、ガザ停戦と復興に関する20項目を挙げ、今は第二段階だと主張している。しかし、ハマスの武装解除は進まず、協力する国も少なく、実質的には頓挫していると言ってもよい様相である。
トランプ大統領は、Board of Peace(平和評議会)を立ち上げており、これまでに、アラブ諸国を中心に か国が参加を表明している。しかし、欧州諸国は、この計画の背後に、トランプ大統領の国連打倒の野望が見えるとして、参加を拒否した。
イスラエルは、これに参加することに合意していたが、今回、ネタニヤフ首相が、ルビオ国務長官とともに正式な文書に署名した。トランプ大統領は、今月19日に、第一回目の平和評議会を開催する予定である。
www.israelnationalnews.com/news/422360
これからどうなるのか?:元IDF将軍ヤアコブ・アミドロール氏
1)イランについて:今はイラン弱体化で攻撃のチャンスの時
イスラエルの治安に詳しい元IDF将軍のヤアコブ・アミドロール氏は、今回は情報がほぼ出ていないのでわからないとしながらも、今回のネタニヤフ首相との会談は、イスラエルにとっては良いものだったと見ている。
会談後に、メディアで叩かれるようなことが出ていないからである。しかし、両国の間に緊密な連絡を取り合うことが確率したと見ている。
アミドロール氏は、今は、イランを攻撃するチャンスの時だと語る。昨年のイスラエルとアメリカの攻撃によって、イラン上空が無防備になっているだけでなく、傀儡組織のハマスもヒズボラもかなり弱体化している。
また、シリアはイランの下にいたアサド政権が、別政権に変わり、イラクも以前のように、イランよりではない。
アミドロール氏は、イランとの交渉も、応じる期限を決めるべきだと思うとの考えを語った。今はまだ期限を切っていないので、イランに時間稼ぎさせる状態にあるとも言えるのである。
あれだけの米軍を派遣するのにかかる費用は、相当なものだとしながら、アメリカがいったい、どこに向かっているのかはわからないと語った。
イスラエルについては、「アメリカがどう出ようが、きちんとアメリカには連絡をした上で、するべきことはする。もし、イスラエルが、イランを攻撃する場合は、弾道ミサイル関連施設に集中するだろう」と語る。イランの核兵器や、政権打倒もイスラエル一国では、なし得ないからである。
2)ガザ
アミドロール氏によると、計画と現状のギャップにかかわらず、トランプ大統領は計画を進めている。まず、エジプトで、ガザで管理を進めるパレスチナ文民の組織を立ち上げ、整ったところで、ガザ内部に送って、ハマス以外に、ガザを管理する代替組織があることを、ガザ市民と世界に見せようとすると語る。
平和協議会の役割については、会社のような存在で、その代替組織に関することをいろいろ決めるが、現地での動きには関わらない。ハマスの武装解除がどのように進むのかはわからないと語っている。
またガザ内部で治安維持を図るISFには、今のところ、インドネシアが8000人の兵士を派遣する意思を表明している。しかし、その他にはまだ具体的には決まっていない。アミドロール氏は、だれもガザでハマスと戦いたくないと思っているとみている。
石のひとりごと
イランはどうなるのか。専門家でも先が見えないという状況である。しかし、イランが、アメリカに譲歩することはほぼ考えにくい。
もし戦闘になった場合、イスラエルへの被害が押しとどめられ、近隣にも大きな混乱にならないよう、主のあわれみを祈るしかない。
