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フランス、サウジアラビア主導でパレスチナ国家承認に関する国連会議
イスラエルと全世界のユダヤ人が、ローシュ・ハシャナを祝っていた9月22日(火)、ニューヨークの国連本部では、フランスとサウジアラビアが中心となり、パレスチナ問題における二国家解決の促進議題にした総会が行われた。
この会議は、7月末に、フランスとサウジアラビアが出した、いわゆるニューヨーク宣言*に基づき、パレスチナ国家承認に向けて具体的な案を進めようとする会議である。
*ニューヨーク宣言:フランスとサウジアラビアが国際社会に提示している内容

ニューヨーク宣言は、7月29日に国連で行われた、高官レベルでのパレスチナ問題の平和的解決を目指す会議で、合意されて出された宣言である。
会議共同議長:フランス、サウジアラビア
作業部会共同議長:ブラジル、カナダ、エジプト、インドネシア、アイルランド、イタリア、日本、ヨルダン、メキシコ、ノルウェー、カタール、セネガル、スペイン、トルコ、イギリス、EU、アラブ連盟
ニューヨーク宣言では、ガザにおける戦争を終結させることを喫緊の課題として認識し、敵対行為の恒久的な終結、すべての人質の解放、パレスチナ捕虜の交換、すべての遺体の返還、イスラエル軍のガザからの完全撤退につながる停戦合意の全ての段階での履行を求めるとしている。
ここで宣言されたことは、「戦争、占領、テロ、そして強制的な避難は、平和も安全ももたらさない。政治的解決のみがそれを可能にする」「イスラエル・パレスチナ紛争の終結のためには、国際法に基づき、イスラエル人とパレスチナ人双方の正当な願望を満たすことが唯一の道だ」ということである。
このイスラエル人とパレスチナ人双方の正当な願望というのが、イスラエル人もパレスチナ人もどちらもが、国を持って、同じ立場に立てるようにするということである。この問題解決の第一歩は、国際社会が、パレスチナ国家を認めることから始まるということである。
ガザはヨルダン川西岸地区と統合されなければならないとし、占領、包囲、領土縮小、強制的な移住があってはならない。 パレスチナ全土における統治、法執行、安全保障は、適切な国際社会の支援の下、パレスチナ自治政府のみが担わなければならない。我々はパレスチナ自治政府の「一国家、一政府、一法、一銃」政策を歓迎するとしている。
パレスチナとイスラエルという二つの民主的で主権国家が、エルサレムに関するものも含め、1967年の境界線に基づき、平和かつ安全に共存する二国家解決の実施を支持するとなっている。(以下のページで全文確認可能)
onu.delegfrance.org/new-york-declaration
*マクロン大統領は、ハマスは統治に関わらないとし、段階的にハマスの非武装化を進めると言っている。
フランス含め10カ国がパレスチナの国の承認を発表
国連総会が行われている中、上記ニューヨーク宣言を基に9月22日(月)に、フランス、サウジアラビア主導でパレスチナ国家承認に関する国連会議が行われた。
パレスチナ国家を認めないとするイスラエル、アメリカは欠席。日本もパレスチナ国家承認は、今回は見送るとして欠席を表明。パレスチナ自治政府のアッバス議長は、アメリカが入国を認めなかったので、オンラインでの出席となった。
フランスのマクロン大統領は、この会議において、ハマスの暴力で死亡したイスラエル人の犠牲者は忘れないし、人質の解放に重要性や、反ユダヤ主義との戦いもやめないと述べた上で、しかし、イスラエルの対応は行き過ぎだったと述べた。
今、ガザでの戦争はとにかく終わらせなければならないと述べ、国際社会は、終わりのないイスラエルとパレスチナの平和の欠如に対する「集団責任」を追っていると述べた。
フランスのマクロン大統領は、フランスがパレスチナ国家を承認すると正式に表明。続いて、ベルギー、ルクセンブルグ、マルタ、サンマリノ、アンドラも同様にパレスチナ国家承認を表明した。

この前日の21日(月)には、イギリス、オーストラリア、カナダ、ポルトガルがパレスチナ国家承認を発表していた。これにより、国連加盟国193カ国中、157カ国が、パレスチナを国と承認することとなった。
NYTによると、NATO加盟32か国中18か国、G20のうち14か国が、パレスチナ国家を承認した形である。
G20で、現時点でパレスチナ国家承認していない国は、ドイツ、イタリア、日本、韓国、アメリカである。
国連安全保障理事会で、実効力ある決議を出すことができる常任理事国の中では、イギリス、フランス、中国、ロシアが、パレスチナ国家認めたことから、これに反対するのは、アメリカのみとなった。
イスラエルとアメリカの孤立が明確になったと言われている。
