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中国では、8月31日(日)から2日間、中国では、上海協力機構(SCO)が開催され、ロシアのプーチン大統領と、インドのモディ首相が出席している様子が注目された。
その2日後の本日3日(水)、中国が日本に勝利してから80年を祈念する、壮大な軍事パレードが開催され、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党書記はじめ、反米と目される26カ国首脳が参加した。
トランプ大統領がグローバリズムから多国間主義に進む中、中国の習近平国家主席は、この流れに対抗する「人類運命共同体」構想を打ち出している。
上海での軍事パレードでは、これまで世界を先導してきた欧米諸国首脳の姿はなく、新しい世界秩序をアピールするようなイベントとなった。
また中国では、このイベントに合わせて、南京事件など、日本が戦争中に中国にしたことを題材とする映画が多数出されているという。今の日本人とは違うと冷静に見ている人もいるが、反日感情を煽られている人もやはり出ているようである。
中国が経済不審で若者の失業率が悪化をたどる中、反日感情を煽って、国を統一しようとするねらいもあるとみられている。
この件は、日本でも大きく報じられ、詳しい解説もある中、オリーブ山通信でも簡単にまとめておくこととした。
上海協力機構:アメリカとの亀裂の中で中国に接近するインド
上海協力機構(SCO)とは、2001年に、NATO(北大西洋条約機構)に対抗する形で、中国、ロシア、中央アジア4カ国が立ち上げた国際グループである。

現在の加盟国は、10カ国(中国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)
このほか、オブザーバーとして登録している国も多数ある。今回の出席者は、加盟国10カ国他20カ国以上となっている。
NHKによると、習主席は、演説で、上海協力機構が、世界最大の地域組織に成長し、国際的な影響力が高まっている」と述べ、さらなる結束を呼びかけた。
また、加盟国の安全保障や経済面の協力を支援するとして、「上海協力機構開発銀行」を早期に創設すると表明した。
www3.nhk.or.jp/news/html/20250901/k10014909001000.html

今回、特に注目されたのがインドのモディ首相だった。インドと中国の関係は、2020年にヒマラヤ山脈で、両国の軍隊が衝突し、インド兵20人が死亡して以来、関係が途絶えていた。
インドのモディ首相が中国を訪問するのは7年ぶりだった。なぜ今回訪問を決めたのか。
インドは、ロシアから原油を輸入していることから、アメリカの怒りを買い、関税50%と言われている。こうした中で、中国を訪問し、プーチン大統領と手をつなぐまでして、アメリカにいうことは聞かないぞと示した形である。
インドは人口が多く、中国に並んで巨大経済圏でもあるので、この両国がつながることによる経済への影響は小さくないかもしれない。
中国軍事パレードにロシアと北朝鮮首脳が出席

9月3日は、第二次世界大戦で日本が降伏文書に署名した翌日にあたる。NHKによると、習近平主席が、2014年に「抗日戦争勝利記念日」として定めた。
この日に合わせた軍事パレートは、2015年と今回が2回目になる。
今回は、「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」とされ、北京の天安門広場で、軍事パレードが行われた。
パレードには、過去最大規模の1万人以上を動員。核弾頭搭載でアメリカにまで到達する、潜水艦発射型弾道ミサイル、新型ドローンなど、軍備の増強を誇示した。
NHKによると、中国の国防費は、10年前の2倍になっているとのこと。これだけの武器をお披露目する背景には、武器の販売も視野に入れているのではとの分析もあった。
今回特に、衝撃だったのは、このパレードに、中国と、ロシア、北朝鮮の首脳が一堂に介したことである。ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩書記は、いずれもアメリカの制裁を受けている首脳たちである。
それを国賓として迎えたということは、明らかに中国は、アメリカに対抗していることを強調するものである。
この他、欧米主要国を含まない、26カ国の首脳(イラン含む)も参加していた。日本からは、正式な代表は送っていなかったが、中国は、鳩山由紀夫氏が参加していた発表した。
習主席は演説で、戦勝国としての立場を強調しており、アメリカには屈しないと強調した形である。
www3.nhk.or.jp/news/html/20250903/k10014911111000.html
www.nytimes.com/2025/09/02/world/asia/xi-putin-kim-parade.html
トランプ大統領の反応:二人によろしくと皮肉
トランプ大統領は2日、SNSにコメントを投稿。それによると、第二次世界大戦を終わらせたのは中国だけでなく、連合軍にいたアメリカ兵もいたことを忘れるべきではないと釘をさした。
また、アメリカが対立している、プーチン大統領と、金正恩書記によろしくお伝えくださいと皮肉っていたとのこと。
www3.nhk.or.jp/news/html/20250903/k10014911111000.html
石のひとりごと:日本がこれからの世界で生き延びるために
世界の秩序が今大きく変化しようとする中、名前は忘れたが、中国情勢に詳しい専門家が、「これから、日本はどういう国になるのかを明確にする必要がある」と言っていた。
また、日本にはシンクタンク(専門家によるご意見番)が少ないとの懸念も指摘していた。
これまでの日本の政治は、ベテランの政治家が全てを決めていたことや、日本文化では意見が対立とみなされる傾向があり、論議が苦手な風潮からか、シンクタンクが育っていない可能性がある。
たとえば、イスラエルはユダヤ人の国であり、他国に滅ぼされてはならない。世界がどう変わろうとこの原則は変わらない。これを維持するために、さまざまなシンクタンクが存在しており、政府に対して情報や意見を提供している。
日本は、どういう国になるのか明確にする必要があるというのは、日本は、国の原則がどうもはっきりしていないので、世界の動きにふりまわされる傾向にあること。
またシンクタンクが少ないので、政府が間違った方向に行ってしまうのを止めるものがないということではないかと思う。
日本の政治も大きく変わろうとする今、激動の世界に立っていけるような政府、またシンクタンクが立ち上がるよう祈る。
