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レバノンにジョセフ・アウン新大統領:2年ぶり大統領選出
レバノンでは、1月9日(木)、支配的だったヒズボラが弱体化したためか、2年続いた暫定政権の中、ようやく選挙で選ばれた大統領が復活した。
選ばれたのは、元レバノン軍参謀総長のジョセフ・アウン氏(61)である。
レバノンは、イスラム教徒(スンニ派、シーア派)とキリスト教徒などが混在する国なので、これまでは、大統領はマロン派キリスト教徒、首相はスンニ派イスラム教徒、国会議長はシーア派イスラム教徒という暗黙の分担のルールがあった。
しかし、この緊急事態ということもあり、既存の制限が取り払われて、今回、イスラム教徒のジョセフ・アウン氏が大統領になった形である。前大統領と同じ名前だが、家族関係はないとのこと。
NYTによると、アウン新大統領は、レバノン国内での尊敬を受けている人物で、レバノン・アメリカ大学を卒業しており、アメリカにも受け入れられているとされている。
www.nytimes.com/2025/01/09/world/middleeast/lebanon-politics-president-parliament-vote.html
レバノンは、イスラエルとヒズボラの戦争で、南レバノン市民が難民となり、経済的にも膨大な打撃を受けている。国内の回復と、ヒズボラを封じ込めるために、アメリカとサウジアラビアの協力を必要とするとみられている。これはイスラエルにとってもよい方向といえる。
Times of Israelによると、アウン大統領は、イスラエルとヒズボラの脆弱で一時的な停戦を支持すると表明しており、ギドン・サル外相は、レバノンとイスラエルの友好関係に期待すると表明した。
ゆらぐヒズボラとイランの停戦:期限は1月27日
イスラエルとヒズボラは、昨年11月27日から60日間の一時的な停戦に合意している。その期限は1月27日にせまっている。
この間に、ヒズボラは完全に、リタニ川以北(国境から30キロ北)まで撤退し、南レバノンにいかなる武力も残さない状況を完成させ、イスラエル軍も、順次、南レバノンから完全に撤退する約束である。それを確実にするため、レバノン軍が、南レバノン地域のヒズボラ拠点の摘発をしているのだが、今はまだイスラエル軍も残留し、同じ作業を独自に続けている。
残念ながら、イスラエル軍は、2週間前に8万5000基にのぼる武器庫を摘発し、その後もヒズボラの地下トンネルや膨大な武器庫を摘発している。
www.jpost.com/israel-news/article-836904
また、いるはずのない地域にヒズボラ戦闘員がいるため、イスラエルが空爆する事態にもなっている。
1月10日(金)には、南レバノンで、イスラエル軍が、ヒズボラの武器を乗せたトラックを標的にした空爆を行い、レバノン保健省によると、5人が死亡したとのこと。
ヒズボラの現在のトップ、ナイム・カセムは、このままであれば、忍耐は1月26日に切れるとの声明をだしている。
アウン新大統領が、この状態をどう抑えることができるか、祈りつつ、注目していきたい。