目次
停戦交渉が始まっている中、イスラエルとヒズボラの戦闘はエスカレートする様相にある。イスラエルは、今こそ、ヒズボラに降参させて、交渉を有利に持ち込もうとしている様にも見える。
イスラエルのヒズボラへの攻撃
30日(水)イスラエルは、レバノン南部、バールベックの住民に移動を警告し、その後空爆を実施した。レバノンの地方行政は60人が死亡したと言っている(未確認)。またこの地域には、3000年前のローマ時代のユネスコの世界遺産があったことも問題となっている。
NYTは、これまでに南レバノンでイスラエルが破壊した建物は1085棟であるとし、激しい破壊の様子を報じた。
www.nytimes.com/2024/10/30/world/middleeast/israel-lebanon-border-photos-video.html
さらに、イスラエル軍は、30日(水)、ヒズボラのエリート部隊ラドワン部隊副総司令官ムスタファ・サファディを暗殺した。ヒズボラにとってはかなりの打撃であるとみられる。
また、29日(火)には、国境から6キロ離れたヒアムという町で、イスラエル軍戦車2両が走行していると伝えられた。レバノンで、最も深い地点にまでイスラエル軍が及んでいることになる。
ヒズボラのイスラエルへの攻撃
一方、ヒズボラは、毎日、特にここ数日は、1時間から数時間おきに、ロケット弾や、ドローン、ミサイルをイスラエルに向けて発射している。
29日(火)の朝、少なくとも50発のミサイルが、西ガリラヤ地方に飛来。1発が、マアロットに近いマアロット・タルシバの家屋に着弾した。
アラブ系イスラエル人のモハンマド・ナイムさん(24)が死亡。少なくとも13人が負傷した。
ナイムさんは、サイレンが鳴ったため、弟と妹をシェルターに走らせたが、自身は間に合わなかったとのこと。
www.ynetnews.com/article/r1ht2mrljl#autoplay
また、30日からは、北部国境周辺から、ハイファやアッコ方面、ナハリヤなどにもロケット弾やドローンが飛来している。30日(水)には、メトゥラで農業に従事していた2人が負傷(1人重傷)し、ナハリヤには、ドローンが、航空工場に着弾した。被害は小さかったとのこと。
イスラエルはレーザー迎撃ミサイルシステム(5億ドル)導入を発表
ヒズボラはイスラエルに向けて15万発のロケット弾やミサイルを持っていると言われていた。だいぶ消費したのではないかと期待したい。しかし、イスラエルも限りなく迎撃ミサイル(1発4-5万ドル(1発700万円ぐらい)を消費させられている。
これに対する対処として、イスラエルの防衛省は、28日(月)、レーザーで迎撃するアイアン・ビーム・システムの導入をすることを発表した。開発と生産は、アメリカの防衛関連企業で、イスラエルの防衛企業ラファエルが契約したとのこと。
アイアン・ビームシステムは、5億ドル(約770億円)するが、迎撃にかかる費用は、格段に低くなる。来年後半には、配備と稼働が始まる見通しである。
www.timesofisrael.com/iron-beam-laser-interception-system-set-to-become-operational-in-2025/
石のひとりごと
戦争のむなしさというか、愚かさというか。人命と資産の無駄遣いとしか言いようがないが、殺しにくる敵を前に、だまって待つだけにはいかない。しかし、そうなると相手にも死者が出て、またエスカレートする。
わかっていても止められない。結局のところ、間に入れるのは主だけである。