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イスラエル軍がレバノンへ限定的侵攻開始
数日前から、イスラエルの地上軍が暫定的小規模で国境を超える作戦が始まっているとのニュースが出ていたが、そこで、ガザと同様に、地下トンネルを発見したと報告していた。
その後、国境に多くの戦車が集まっている様子が伝えられ、地上戦はまもなくとの様相であった。
イスラエル軍は30日(月)夜、ブルーラインと呼ばれる2006年の1701国連決議に基づく国境ラインを超えて、レバノン側へ地上軍を進軍させ、国境にあるヒズボラ関連の施設への限定的な攻撃を開始した。空軍と砲兵部隊が援護している。
レバノン軍は、国境から5キロ北へ撤退し、イスラエル軍のすることを傍観する道を選んだもようである。また、イスラエル軍は、レバノン市民に対し、リタニ川から南へ移動しないようにと警告を出した。
IDFのハガリ報道官は、この戦争は、ヒズボラに対するものであって、レバノン市民に対するものではないと、改めて強調する声明を出した。
この地上軍侵攻開始については、ガラント防衛相が、アメリカのオースティン米国防長官と電話で対話し、アメリカの合意を得ていると伝えられている。
オースティン国防相は、地上軍の侵攻は、侵攻自体が目的ではなく、ガザの10月7日のような事態が北部で起きないようにするためだと強調した。
地上戦が避けられない理由
IDF少佐(予備役)で、国際テロの専門家、ミリ・エイシン氏によると、ヒズボラの中でも最も危険なラドワン部隊が、イスラエルとの国境に控えていた。
ラドワン部隊は、その形態から、たとえナスララ党首がいなくても、イスラエルを破壊するという使命を遂行する力を温存している。
それが、国境でハマスにようにイスラエルへ攻撃する寸前になっていたというのである。
ヒズボラはもう何年も前から国境周辺に、ガザのハマス以上に高度な拠点と、トンネルを構築している。これらは空爆で破壊し尽くせるものではなく、地上軍が入って、破壊するしかない。
トンネルには、罠や爆弾が仕掛けられている。ガザよりはるかに高度で複雑なヒズボラ施設の破壊は、これまで以上に時間と犠牲を伴うと、エイシン氏は懸念を表明した。
石のひとりごと:強いられる戦争
ニュースでは、イスラエル軍が、交戦的にレバノンに攻め込んだというイメージだが、実際は全然、逆であることをお伝えしたい。イスラエルは、戦争などしたくないが、させられている立場である。
確かに先制攻撃をすることもあるが、ここ中東においては、やられてからやりかえすでは、もう遅い。
また、イスラエル兵たちの多くは、兵士を職業にしているいわゆるプロフェッショナルの兵士ばかりではない。多くは予備役兵で、それぞれの平和な日常を置いて、国のために従軍している人々である。
以前、IDFで報道官として状況を伝えた兵士が、自分は予備役で、仕事をおかなければならなかった。こんなことは早く終えたいが、国を守らなければならないから、従軍する。仕方ないのだと言っていた。
また、いろいろなルートから入ってくる情報によると、最前線の兵士たちには、電話もネットもなく、家族から切り離される。基本的な備品も不足する。
もちろんシャワーなどなく、2週間ぐらい、同じユニフォームの時もある。昨日まで大学生だった人が、今日は軍隊で最前線にいる。個人の人生を完全に分断されているのである。従軍期間を終えて、帰国しても正常に戻れない人がいることも理解できる。
いつも思うが、イスラエルを非難し、イスラエルに向かって戦争をやめよという人は、中東の現状をわかっていないと思う。イスラエルは戦争をしたくない。
しかし敵が襲ってくるから戦うしかない。戦争は、しているのではなく、させられているということである。世界がするべきは、イスラエルを攻撃するものにこそ、それをやめさせるべきだと思う。
今、北部国境にいるのは、新たに招集された予備役兵の2部隊である。できるだけ早く安全に、双方民間人の死者が最小限に、使命を遂行できるように。