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イエメンからテルアビブ周辺へフーシ派の弾道ミサイル
15日早朝6時21分ごろ、イエメン(イスラエルから1800キロ南)のフーシ派(イラン傀儡)が、イスラエルに向けて地対地弾道弾道ミサイルを発射した。
サイレンがテルアビブ東部からモディーンにかけて鳴らされ、この地域にあるベン・グリオン空港でも、乗客たちがシェルターへ駆け込むさわぎとなった。
この攻撃に対し、イスラエルのアロー長距離迎撃ミサイルが発射されたが、完全に破壊できなかった。フーシ派のミサイルは、空中で破裂し、弾頭などミサイルの破片が、ベン・グリオン空港南東数キロのベンシェメシュの森林に着弾。森林火災が発生した。
またアロー長距離迎撃ミサイルが失敗したことを受けて、短距離迎撃ミサイルのアイアンドームが発動して、降ってくる破片の迎撃を試みた。
その破片が、モディーンの鉄道の駅に軽い被害を及ぼした。(写真左)
フーシ派のミサイルによる直接の負傷者はないが、シェルターにかけむ際に、負傷した9人が病院に搬送された。
フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官は声明の中で、テルアビブの近くにある軍事拠点へ超音速ミサイルを発射したと発表した。しかし、イスラエル軍は、超音速のミサイルではなかったと発表している。
フーシ派がイエメンから、イスラエルに向けて弾道ミサイルを発射するのは、これで3回目になる。1回目はこの3月にエイラットへ、2回目は、7月にフーシ派のドローンが、テルアビブのアパートに着弾して、イスラエル人1人が死亡。8人が負傷していた。
これに対し、イスラエル軍は戦闘機12機で、フーシ派の輸送口であるホダイダ港への大規模な攻撃を実施したのであった。この時イエメンでは3人が死亡していた。
www.jpost.com/opinion/article-811141
mtolive.net/イスラエルがイエメンのフーシ派港へ反撃空爆:/
フーシ派のサリー報道官は、パレスチナ人を支援するとして、これから10月7日に向けて、さらなる攻撃が続くと脅迫している。
これに対し、ネタニヤフ首相は、イスラエルを攻撃する者は、重い代償を負うことになると発表した。
しかし、イスラエルの専門家からは、イエメンは遠く、イスラエルの存在を脅かすほどの脅威ではないとして、今、紅海で問題となっているフーシ派と戦っている米英軍や、国際社会に対処を任せるべきだとの声もある。
*フーシ派とは?:10月7日以来の米英・イスラエルとの戦闘の流れ
フーシ派は、1990年代にイエメン北部で、イランの支援を受けて、イスラム教シーア派の反政府勢力としてフセイン・アル・フーシが立ち上げた。
2004年から、イエメン政府軍と戦闘状態に入り、2011年にサアダ県を掌握し、2014年には、首都サヌアへ侵攻。その翌2015年に、大統領が辞任したことで、事実上、クーデターを成功させた形となった。
ところがその後、イエメンの大統領が辞意を撤回して反撃に出る。これにより、サウジアラビアの支援受ける大統領と政府軍(スンニ派勢力)と、イランの支援を受けるフーシ派(シーア派勢力)との内戦に突入した。イラン対サウジアラビアの代理戦争の形である。
その後、イエメンには、イスラム国(IS)や、中東の様々な組織や国が関与して、悲惨な泥沼となっている。ユニセフによると、この内戦の結果、イエメン国民は史上最悪の飢餓状態にある。
www.unicef.or.jp/news/2022/0063.html
アメリカのCIAによると、その後、イエメン国民が餓死する横で、フーシ派は、イランの支援で、2023年の時点で、地上部隊、航空有宇宙部隊(航空ミサイル部隊)、海上・沿岸防衛部隊、特殊部隊など、最大20個の旅団を持つ本格的な軍隊になった。
10月7日以来、フーシ派は、ガザのハマスを支援すると宣言し、紅海で、数十回、世界各国の商業船や軍用船へ発砲したり乗っ取ったりしている。
アメリカは2024年1月に「特定指定グローバルテロ組織」に指定。アメリカ主導の連合軍(イギリス)が、イエメン国内のフーシ派に向けた攻撃をすでに開始している。
米英が動いていることもあり、イスラエルは、いくら攻撃されてもフーシ派への直接の攻撃には介入しない方針だった。
しかし、7月、首都テルアビブが攻撃され死者も出たことから、イエメンのホデイダ港を大規模に攻撃したのだが、ここは、飢餓に苦しむイエメン市民への支援物資の搬入口であるとして、米英軍はこれまで攻撃は控えていた地点だったという。
しかし、イスラエルに軍よると、攻撃したのは、港のエネルギー関係の施設であったという。イランへの強力な警告だったのではないかと分析されている。
石のひとりごと
ヒズボラとハマスに忙しく、フーシ派のことはちょっと忘れ気味だった。しかし、油断は禁物だ。イスラエルはもうすぐヒズボラへの攻撃を開始する動きにあるが、そうなれば、フーシ派にも対処しなければならないかもしれない。