イスラエルがイエメンのフーシ派支配港を空爆:戦闘機12機派遣 2024.7.21

Smoke rises from a fire following an Israeli air strike in Hodeidah, Yemen in this handout photo released on July 20, 2024. (photo credit: HOUTHI MEDIA CENTRE/Handout via REUTERS)

イスラエル軍がイエメンの港(フーシ派支配)を空爆

イスラエル軍は、20日、イエメン西部にあるフーシ派が支配するホデイダ港を空爆。燃料貯蔵庫やエネルギー施設など多数の施設が炎上した。

イエメンのテレビ放送によると、この攻撃で3人が死亡。87人が負傷した。

イスラエルとイエメン、イラン:ブリタニカ

1800キロという遠方であるため、空爆したのは、F35ステルス戦闘機、F15戦闘機、偵察機、給油機を含む12機による空軍部隊であった。

イスラエル最南端の町、エイラットでは、南イエメンへ向かう、この空軍の大部隊が目撃されていた。

www.timesofisrael.com/israel-strikes-houthi-controlled-port-in-yemen-after-deadly-drone-attack-on-tel-aviv/

イスラエル軍によると、フーシ派は、10月7日以降、エイラットに向けて、220発以上の弾道ミサイル、巡航ミサイル、攻撃用ドローンを発射していた。

これまで、アメリカ軍の協力も得て、ほぼすべて迎撃しており、被害はなかったが、18日、何らかの人的ミス(捜査中)で、ドローンが迎撃されず、警報もならないまま、テルアビブ市街地のアパートを直撃。

イスラエル人のエフゲニー・フェルダーさん(50)が死亡。8人が負傷した。

攻撃後まもなく、イエメンのイラン傀儡組織、フーシ派が犯行声明を出したが、IDFハガリ報道官が、正式に発表したところによると、攻撃に使われたドローンは、イラン製のステルスUAV、マサド3で、イランの関与は明らかであった。

このため、イスラエル軍は、イランからイエメンへの武器搬入に使われていたホデイダ港を、大規模に攻撃したということである。ハガリ報道官は、イスラエルは、今、多方面からの攻撃に直面していると述べ、近くでも遠くでも、あらゆる脅威に対応すると述べた。

しかし、イスラエル軍が戦っているのはフーシ派であり、イエメン市民に危害は加える意図はないとも強調した。

 

これまでのアメリカ連合軍のイエメン攻撃との関連

このフーシ派だが、紅海で世界諸国の商船や軍用船に対し、攻撃やのっとりを行っている。このため、アメリカ主導の連合軍(イギリス)が、イエメンのフーシ派に向けた攻撃をすでに開始している。(地図BBC)

このため、イスラエルは、いくら攻撃されてもフーシ派への直接の攻撃には出ていなかったということである。

今回、イスラエルが攻撃したホデイダ港については、米連合軍は、近くは攻撃しても、飢餓に苦しむイエメン市民への支援物資の搬入口であるとして、これまで攻撃は控えていたという。

それをイスラエル軍が攻撃したということである。今後、この点が問題になってくる可能性があるかもしれない。

しかし、エルサレムポストは。攻撃対象が、港のエネルギー関係の施設であったことから、イランへの強力な警告だったのではないかと分析している。

www.jpost.com/opinion/article-811141

フーシ派が反撃のミサイル:イスラエル撃墜

イスラエル軍がイエメンのホデイダ港を攻撃した後、フーシ派が、21日、長距離弾道ミサイルを発射。エイラットでは、サイレンがなったが、長距離迎撃ミサイルのアロー3が、イスラエル領内に到達する前に撃墜した。

www.timesofisrael.com/idf-shoots-down-missile-heading-to-israel-in-1st-houthi-attack-since-yemen-port-strike/

*フーシ派(Wikipedia まとめ)

Houthi fighters and tribesmen rally against the US and UK attacks on Houthi-run military sites near Sanaa, Yemen, on January 14, 2024 [AP Photo]
1990年代にイエメン北部でイスラム教のサイド派として発足。2004年からイエメン政府軍と戦闘状態に入り、2011年にサアダ県を掌握し、2014年には、首都サヌアへ侵攻。

2015年に、大統領が辞任したことで、事実上、クーデターを成功させた形となった。ところがその後、大統領が辞意を撤回して反撃に出る。

これにより、サウジアラビアの支援受ける大統領と政府軍(スンニ派勢力)と、イランの支援を受けるフーシ派(シーア派勢力)との内戦に突入した。その後、イスラム国や、中東の様々な組織や国が関与して、悲惨な泥沼となっている。

ユニセフによると、この内戦の結果、イエメン国民は史上最悪の飢餓状態にある。

www.unicef.or.jp/news/2022/0063.html

ところが、アメリカのCIAによると、イエメン国民が餓死する横で、フーシ派は、2023年の時点で、地上部隊、航空有宇宙部隊(航空ミサイル部隊)、海上・沿岸防衛部隊、特殊部隊など、最大20個の旅団を持つ本格的な軍隊になっている。

10月7日以来、フーシ派は、ガザのハマスを支援すると宣言し、紅海で、数十回、世界各国の商業船や軍用船へ発砲したり乗っ取ったりしている。アメリカは2024年1月に「特定指定グローバルテロ組織」に指定した。

ja.wikipedia.org/wiki/フーシ

石のひとりごと

今後、フーシ派、そしてイランはどう出てくるだろうか。イスラエルは戦争の局面を増やすことになり、中東への戦火拡大の始まりになるのかとひやっとさせられた。

それにしても、くりかえすようだが、戦争とは最も愚かで、最悪に悲惨な無駄である。イエメンでは、実に大変な資金を使って、人々が餓死し、多くの命が戦争で奪われている。

背後にサタンが動いているのだろう。人間には基本、罪がしみついていて、サタンに足場を与えてしまう。絶対に救い主が必要だ。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。