イランがイスラエルのレバノン攻撃に警告:イスラエル包囲網を形成中 2024.6.14

Iran's acting foreign minister Ali Bagheri Kani and Iraqi Foreign Minister Fuad Hussein (not pictured) hold a joint news conference in Baghdad, Iraq June 13, 2024. (photo credit: REUTERS/THAIER AL-SUDANI)

イランの元でガザとヒズボラが同方向の動き:イランの中東での勢力拡大中

10月7日の襲撃から、ガザとヒズボラが、連携していることが明らかになってきている。それまでイスラエルは、ガザを平穏にしておくには、“いちテロ組織”であるハマスをコントロールして、ガザを管理させることが、最善だと全くに勘違いしていたのである。

しかし、ただのテロ組織に見えたハマスは、今や、イランの配下の組織となり、ヒズボラと合わせて、イランの強力な一つの勢力になっている様相である。その戦闘員は、西岸地区にも進出しており、イスラエルは、再び1967年の時のように、周囲を敵に囲まれることとなっている。

さらに、エルサレムポストによると、イランは、中東での外交努力を拡大する動きにある。

イランのハゲリ・カニ外相は、今週イラクの首相と会談。時期は不明だが、ハマスは最近、イラクに正式な事務所が開設され。開設式には、イラクのシーア派民兵組織代表団も出席しており、イラクとイラン、ハマスの密接な関係は明らかである。

またエルサレムポストによると、イランはエジプトに接近しており、国交正常化への努力を始めているとのこと。世界の非難や、経済制裁をものともせず、イスラエルの包囲網が、少しづつ形をなしはじめているようである。

www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-806170

イランがイスラエルにレバノン攻撃はやめるよう警告:ウラン濃縮能力レベルアップ公表と共に

こうした中、13日、イランのアリ・ハゲリ・カニ外相が、訪問先のイラクから、イスラエルにレバノンへの攻撃はやめるようにとの警告を発したということである。さらに、この発表は、イランが、IAEAにウランの能力能力をアップしたことを報告した直後のことであった。

www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-806042

IAEA(国際原子力機関)は11日、イラン原子庁から、「1号機カスケード(ウランを効率よく濃縮するため、複数の遠心分離機を効率よく稼働させる施設)への遠心分離機設置を完了し、さらにカスケード4つの設営を進めている」との報告を受けたと発表した。

イランはこれまでファルドウに8台の遠心分離機を稼働させていると知られていたが、カスケード設置にレベルアップした形である。

www.reuters.com/world/middle-east/iaea-report-iran-installs-more-centrifuges-fordow-enrichment-plant-2024-06-13/

この発表は、イランに対し、IAEA理事会(イギリス、フランス、ドイツなど35カ国)が、もっと査察に協力するよう勧告した1週間後であったことから、イランが、国際社会をなめているような態度に出たことを意味する。

なお、このIAEAの通告について、ロシアと中国は反対していた。イランが、強気の姿勢を続ける背景には、ロシア、中国という大きな後ろ盾があることがうかがえる。

*欧米社会のイランとの対話失敗の経過

イランは、核兵器開発疑惑から、2015年に、国際社会と核合意を締結し、ウラン濃縮を平和利用範囲に制限すると約束することと交換に、経済制裁の緩和へと向かっていた。しかし、その3年後、トランプ大統領がアメリカに登場し、この合意から一方的に離脱。イランへの制裁を再開したのであった。このため、イランもこの核合意から離脱すると宣言。ウラン濃縮はすでに核兵器直前になっているとみられている。

バイデン大統領はこれを是正しようとイランに近寄ったが、もはやイランが、合意に戻ることはなく、今に至っている。

www.timesofisrael.com/un-atomic-watchdog-says-iran-expanding-enrichment-capacity/

世界大戦への拡大の兆候になりうるか?

事項に述べるが、ハマスは、イスラエルと国連安保理が提示した停戦案を修正する形で、事実上拒否する形となった。そのあらたな修正案の保証人として、ロシア、中国、トルコをあげていた。

明らかにアメリカとイスラエルを含む勢力と、イランとその背景にいるロシア、中国、トルコなどが対立する形であり、二次的に世界大戦に発展する可能性が懸念される。エルサレムポストの分析では、その可能性は高くないとはいえ、まったくないとも言えないと分析している。

石のひとりごと

ハマスが、ロシア、中国、トルコという名前をいよいよ表に出してきたことに驚いた。聖書には、いつの日か、イスラエルに攻め込んでくる国々としてあげられている国があるが、これらの国々はそこに含まれている国々である。なんとも末恐ろしい感じである。

人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグ(ロシア)に顔を向け、彼に預言して、言え。神である主はこう仰せられる。メシェクとトバルの大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなたに立ち向かう。

わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。ペルシア(イラン)とクシュとプテも彼らとともにおり、みな盾とかぶとを着けている。

ゴルメと、そのすべての軍隊、北の果てのベテ・トガルマ(トルコ)と、そのすべての軍隊、それに多くの国々の民があなたとともにいる。備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼らを監督せよ。

多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみんな安心して住んでいる。

あなたは、あらしのように攻め上り、あなたと、あなたの全部隊、それに、あなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。(エゼキエル38:2-9)

イスラエルとイランは直接対決になるのか。そこから世界大戦に発展するのだろうか。

以下は、聖書に書いてあることも引用しながら、国際情勢を語る高原剛一郎氏のセミナー(5月22日収録)。アップして2日目にしてすでに1万人1000人以上が見ている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。