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ガザでイスラエル人人質3人遺体回収
ガザでは、これまでにないほどの激戦となっている。そうした中、17日、イスラエル軍が人質3人の遺体を回収したとの情報が流れた。
今回、遺体となって帰国したのは、イツハク・ゲレンターさん、アミット・パスキラさん、シャニ・ルークさん(写真左から順)。これまでに身柄を拘束したハマスから聞き出した位置情報を元に、軍とシンベトが夜間に回収したとのこと。
イツハクさんとアミットさんは、人質として今も生きていると考えられていたが、今回、10月7日に殺され、遺体としてガザに運ばれていたことがわかった形である。
シャニさんは、初期の頃、裸の状態で無惨に殺された状態で連れ回される様子がニュースに上がった後、ガザでシャニさんの頭蓋骨が発見されたため、昨年10月末には、すでに死亡が確認されていた。
イスラエル軍は、情報公開は作戦終了時を予定していたが、SNSにその情報が漏れたとのこと。ハガリ報道官は、国民に対し、戦闘中の軍を守るためにも、情報公開に注意を呼びかけている。
報告を聞いた家族たちは複雑な思いだという。シャニさんの父親のニッシムさんは、報告に来たイスラエル軍関係者が、遺体の写真を見せたという。ニッシムさんは、兵士たちが、遺体を取り戻してくれたことに感謝を表明したという。
イツハクさんの家族は、生息がはっきりしない中で生きていると考えるという、複雑な7か月を過ごしてきた。今死亡が明確になったということである。深い悲しみにあるが、葬儀をすることができるということには安堵の気持ちも表明している。
イスラエル軍によると、ガザに今も人質になっているとみられる人は、125人。このうち37人は死亡が確認されている。その中にはタイ国籍の人も2人含まれている。
ネタニヤフ首相と戦時内閣は今、カイロでのハマスとの交渉を中断せず、それと並行する形で、ガザでの戦闘を続けている。イスラエルの交渉を担当する、モサドのバルネア長官と、シンベトトのロネン・バル長官は、共通の見解として、戦闘継続はシンワルを硬化させ、人質の命をも危うくすると警告した。
国連安保理で初めてイスラエル人人質解放に関する採択
3人の遺体が回収されたことが明るみ出たとほぼ同じ頃、国連安保理では、10月7日の虐殺以降、初めて、イスラエル人の人質問題に特化した協議を行った。会議では、ハマスに息子を殺され、遺体を取られたままになっているアイエレット・サメラノさんら、犠牲者家族が証言。
娘とその子供である孫と3人でハマスの人質となり、50日目に釈放されたショシャン・ハランさん(68)は、孫たちは今も恐怖で外へ出られず、また捕まるかもしれないとの恐怖から、ささやくような声でしか話せないと語った。韓国代表は、あまりの悲しみに発言できなくなっていたとのこと。
ショシャンさんは、「非武装の市民、女性や子供、高齢者が大勢、人質になっている。こんな想像を絶する恐ろしいテロが普通になってはならない。
今は私たちの問題と考えているかもしれないが、近い将来、すべての国の問題になるかもしれない」と警告した。
イスラエルのエルダン国連代表は、「ガザでは132人のイスラエル人が、昨年10月7日の時
点から今もまだ囚われたままだ。にもかかわらず、安保理でこの件が協議されたのは、今が初めてである。
ガザにいる人質の人道的問題は深刻だ。国連は、まずこの点にこそ焦点を当てるべきだった」と非難した。
その後、安保理では、ハマスに無条件で即時に人質を解放すると命じることで採択がとられた。
常任理事国15カ国は満場一致で賛成だったが、アラブ22カ国を代表するロシア、中国、アルジェリアは、これに反対した。パレスチナの“占領地”では、恐ろしい虐殺(ジェノサイド)が行われており、人質奪回がその理由に利用されていると反論した。