目次
パレスチナ国案含む停戦案は拒否で一致:イスラエル戦時内閣
アメリカは、イスラエルに対し、パレスチナ国家設立を認めて停戦に入るなら、サウジアラビアをはじめ、湾岸諸国との和解も成立するといった甘い土産話とともに、イスラエルにハマスと停戦させ、ラファへの攻撃をやめさせようとしている。
アメリカは、パレスチナ人の国にハマスは含まれないのであるし、パレスチナが非武装の国になる可能性もあるとして、サウジアラビアとの国交正常化は、イスラエルにとっても大きなチャンスではないかと言っている。
しかし、イスラエルは、パレスチナ国家が非武装化に応じるなど、ありえないことだと一蹴する。パレスチナ人の間では、「ユダヤ人を殺す」ということが文化になっているからである。
ネタニヤフ首相はこれまでと変わらず、この時点での停戦はイスラエルの敗北を意味し、パレスチナ国家設立は、テロ組織へのご褒美になるだけと訴えている。ガザでは、ヒトラーの「マイン・カンプ」のアラビア語版が見つかっていたのに加え、最近また「ユダヤ人の最後」というハマスの著書も発見されていた。
www.timesofisrael.com/rebuffing-biden-cabinet-rejects-palestinian-statehood-as-reward-for-terrorism/
イスラエルでは、18日、戦時内閣がこの問題にどう対処するか議論し、全会一致で拒否することを決めた。右派系閣僚だけでなく、左派中道系のガンツ氏や、アイゼンコット前参謀総長も含めての一致である。
人質解放の期限は3月10日のラマダン開始日と宣言:ガンツ氏
イスラエルが停戦することが戦争の終結と主張する国際社会に対し、イスラエルは、ハマスが人質全部を返して、降参すれば、戦争は終わると強調している。
ガンツ氏は、ハマスに対し、人質を3月10日までに返すよう要求。もし応じないなら、ラファへの侵攻を開始する発表した。その際、ガンツ氏は、ヒズボラからの攻撃も予想されるが、イスラエルにはそれにも対処する用意があると語った。
www.timesofisrael.com/gantz-israel-will-invade-rafah-if-hostages-not-returned-by-ramadan/
3月10日は、イスラム教で最も重要とされるラマダン(3月10日日没から4月8日日没まで)が始まる日である。イスラム教徒はこの間、日中は断食して、モスクで祈る。より宗教的になるため、ジハードへの思いも高まる時期である。この時期のラファ侵攻ということになれば、エスカレートは避けられないだろう。
www.timesofisrael.com/gantz-israel-will-invade-rafah-if-hostages-not-returned-by-ramadan/
危険信号!?ラマダン中神殿の丘へのアラブ系市民入場制限予定
ラマダン期間中に特に問題になるのが、エルサレムの神殿の丘である。毎年イスラエル軍は、危険分子になる可能性が高い若い世代のアラブ人の入場を制限し、国境警備隊との衝突になったりしている。
今年のラマダンについては、ガザでの戦闘もあり、例年よりはるかに繊細な状況にある。しかし、イスラエル政治内閣は、18日、今年も神殿の丘に入れるアラブ系市民に制限(男性は60歳以上、女性は50歳以上)を掛けることを決めた。
しかし、この政策で例年のように、特に旧市街ダマスカス門エリアで、死者も出るような衝突が発生している。まして、今年はさらに繊細な状況である。(ネタニヤフ首相との衝突が続く)ミアラ司法長官は。法的に問題になりうるとして、神殿の丘入場制限に異議を発表。シンベト長官もこれに反対を表明したもようである。
防衛専門家クパワッサー氏も、この政策がかえってパレスチナ人を逆上させると懸念を表明している。
イスラエル国内では、ガザ情勢を許してしまったネタニヤフ首相への信頼が大きく崩れていることもあり、ネタニヤフ首相が、極右政治家のベングヴィル氏らに頭が上がらないのではないかとの批判も出ている。