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ヒズボラ高官暗殺で北部情勢に危機感
先週、レバノンのベイルートで、ハマス副長官アロウリが暗殺されたが、その後ヒズボラが、イスラエルにロケット弾や、対戦車砲を発射した。メロン山では、イスラエル軍のレーダー関連システムが被害を受けた。
これに対し、イスラエル軍は、8日、南レバノンの村へ、戦闘機による反撃を実施。ヒズボラのエリートとされるラドワン部隊の総司令官ウィッサム・アル・タウィルが死亡した。
現場は、イスラエルとの国境から10キロ地点の村マジダル・サレムで、タウィルが乗っていた車は、完全に破壊されている。タウィルは、2006年にイスラエル兵2人を誘拐し、殺害した背後にいたことでイスラエルに覚えられていた人物である。
イスラエルとしては、相当な怒りがあったのか、異例にも、カッツ外相を通して、タウィルを暗殺したことを認めている。カッツ外相は、「これは戦争の一部だ。」と言った。以下はタウィルが乗っていた車。壮絶な破壊の様相である。
مشاهد للسيارة التي استهدفها الاحتلال الإسرائيليّ في بلدة #خربة_سلم جنوب لبنان.@AlMayadeenNews #الميادين_لبنان #لبنان pic.twitter.com/ojXO46OJVn
— الميادين لبنان (@mayadeenlebanon) January 8, 2024
タウィルが相当な高官であったことは、ヒズボラのナスララ党首、またイラン革命軍総司令官であった故スレイマニ総司令官と並んで写真に写っていることからも想像できる。(ちょっと合成っぽい感じも・・?)
いずれにしても、タウィルの死は、ヒズボラにとって大きな打撃になった可能性があり、緊張が高まるとの懸念も出ている。
戦火拡大を止めたいブリンケン国務長官の努力に暗い影
この一件は、イスラエルとヒズボラの戦闘がエスカレートする中、ガザからレバノンへと、戦火が拡大するのを止めようと急遽、中東入りして関係国を周っているブリンケン米国務長官にとって打撃になるとみられる。
ブリンケン国務長官は、「この一件はだれのためにもならない。イスラエルにとってもである。外交的解決でないと、イスラエルも北部国境から10万人近い人を避難させているが、その人々が安心して自宅の帰ることができない。それは南レバノンの住民も同じだ。」と述べた。
外交的手段に応じないなら武力で平和を勝ち取る:IDFハガリ報道官
イスラエル軍のハガリ報道官は、「ヒズボラは、ハマスのために、まったく無用にレバノンを破壊しようとしている。すでに苦しんでいるレバノン南部の市民に加え、レバノン全土の人々を苦しめようとしている。ヒズボラは、ハマスのために、中東全体をリスクに追い込んでいる。ただハマスのためにだ。」と述べた。
また、「イランとその傀儡のすべての組織は覚えるがよい。イスラエルはすべての国境で、市民を守る。外交で達成できなければ、武力でそれを達成すると宣言。イスラエル、ガザ、レバノンの市民たち、そして中東全体の人々は、ハマスとヒズボラが望む破壊ではなく、平和と反映を望んでいる。」と述べ、外交的手段で解決できなければ、武力に出ることを強く警告した。
*イスラエルとヒズボラの小競り合いこれまでの流れ
ヒズボラは、10月7日以降、ハマスを支援するため、イスラエル軍の力を分断させると称して、小競り合い的なレベルではあるが、何度もイスラエル北部に攻撃を行ってきた。これに対し、イスラエルも小競り合い的に反撃を続けている。
小競り合いとはいえ、これまでに、イスラエル側では市民4人と兵士9人が死亡。ヒズボラ側では、戦闘員153人が死亡。他のパレスチナ組織19人、レバノン軍兵士1人、ジャーナリスト3人を含む市民19人が死亡している。