ガザへの地上軍進軍直前の動き:ハマスがアメリカ国籍捕虜2人解放・ガザ国境から人道支援物資搬入開始 2023.10.21

(US Embassy in Jerusalem/AFP)

ハマスとの戦争15日目

An aerial view shows destroyed buildings in al-Zahra city south of Gaza City on October 20, 2023,  (Belal Alsabbagh/AFP)

ハマスとの戦争が勃発してから2週間がすぎた。ガザへの空爆は続けられており、ハマスによると、これまでに、ガザ地区の5000の建物が破壊されたという。

一方、ガザからイスラエルへは、だいたい毎日午後から夜にかけて、ガザ周辺、アシュケロン周辺、テルアビブやベエルシェバに向けたロケット攻撃があり、サイレンが鳴っている。

今は南部に加えて、北部国境へのレバノンからの攻撃もサイレンは、北部国境でも鳴っている。迎撃ミサイルが対処できているのか、今のところ、大きな被害はない。いわば膠着状態の感じかもしれない。

GPO

ネタニヤフ首相は19日、ガザ周辺に駐屯するゴラニ部隊(エリート戦闘部隊)兵士たちを訪問。「我々は必ず勝つ」と励ましのことばかけた。ギャラント防衛相も、南部の駐屯地を訪問し、兵士たちを励ました。

イスラエル軍は、ガザへの地上軍侵攻はまもなくだと言っており、この様子からも、この週末は特に緊張が高まっている。しかし、人質の交渉があったためか、21日午前9時の時点で、イスラエル軍はまだ進軍していない。

ガザ地上軍進軍前のぎりぎりの交渉:ハマスがアメリカ国籍イスラエル人女性2人を解放

いよいよ始まるかといった緊張の中、ハマスが、13日夜、アメリカ国籍を持つイスラエル人の母娘を、解放された。解放されたのは、キブツ・ナハル・オズで拉致されたジュディス・ラナンさんとその娘のナタリーさんである。

二人は赤十字を通じて、イスラエル側に引き渡された。理由は、ジュディスさんの健康上の問題であり、人道的な理由だとハマスは言っている。二人は元気そうである。アメリカ人なので、バイデン大統領との電話で笑顔も見られている。

イスラエルは、ハマスとの交渉はしない。人質返還よりもハマス一掃を優先すると言っているが、水面下では、人質返還に向けた努力がすすめられているようである。

IDFスポークスマンによると、ラナンさん母娘の解放については、アメリカとIDFも関与する中、カタールがハマスと交渉を担当したとのこと。バイデン大統領はイスラエルの協力に感謝を表明したとのこと。

www3.nhk.or.jp/news/html/20231021/k10014232641000.html

www.timesofisrael.com/gaza-terrorists-launch-fresh-rocket-barrages-at-south-as-israel-hits-hamas-targets/

人質は、まだ200人以上(子供30人含む)となっており、外国人も多い。ハマスは、イスラエル国籍以外の人質は釈放すると言っていたので、水面下で、人質返還の交渉が行われているようである。EUは、イスラエルい進軍を待つように要請したとの情報もある。

ガザ地上軍進軍前のぎりぎりの交渉:エジプトのラファ検問所解放で大混乱も懸念

本日10時(日本時間午後4時)に、ガザとエジプトの国境、ラファの検問所が解放されるとの情報を受理したとアメリカが発表した。人道支援物資を乗せたトラックが入ることと、エジプトへ出ようとするガザ市民で、大混乱になると懸念されている。

*ついさきほど、物資の搬入が始まっている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。