アフリカ大陸とマダガスカル島に近い小さな島、セーシェル共和国がある。そこでの休暇を楽しんだイスラエル人128人が、帰国するために乗っていたセーシェル航空が、途中で機体にトラブルを起こして、サウジアラビアのメッカに近い海岸沿いのジェッダに緊急着陸するという事態になった。
イスラエルとサウジアラビアの間には、正式な国交がまだ成立していない。ただイスラエルとUAE(アラブ首長国連邦)が、アブラハム合意に署名して国交を開始して以来、サウジはその上空を旅客機が飛ぶことは、受け入れているという段階にはある。
しかし、サウジアラビアは、イランとの国交を開始するなど、どちらにも寝返る可能性がある位置に立っている。128人の乗客の中には、イスラエルの治安関係者や、極右のベングビル氏の党、オズマ・ヤフディ党議員の兄弟もいて、政治的に危険なことになる可能性もあったという。
乗客たちは、サウジアラビアに着陸すると聞いて、パニックになった人もいたという。ジェッダに着陸後、乗客は3時間、機内で待機した後、バスで、高級ホテルに誘導された。
飛行機から降りる時が怖かったと乗客たちは語っている。ところが、この時、ジェッダの空港で、人々は、笑顔と、「シャローム」とヘブライ語で挨拶した人たちに出会ったのであった。空港では、Wi-Fiに接続する方法を教えてくれた人もいた。
敵対国だと思っていたサウジアラビアで、意外にも親切で、紳士的な対応を受けて、イスラエル人乗客たちはうれしい驚きだったようである。
その後、セーシェル航空が、代わりの便を調達し、イスラエル人たち128人は、その日の午後2時にジェッダを出発、2時間後、無事、ベン・グリオン空港に到着した。128人は、奇しくも、イスラエル人で始めて、サウジアラビアへの最初の観光客になったということである。
ネタニヤフ首相は、SNSで、サウジアラビアに対し、深い感謝を表明した。