ガザと停戦に入ったが、司法制度改革のデモはどうなったのだろうか。明日土曜安息日明けにどんなデモになるかはわからないが、政府は、今、それどころではなくなっているかもしれない。
5月29日までに、次年度(2023-2024)予算を策定、合意しなければならず、もし国会での合意に至らなかった場合、政府は解散となり、また総選挙しなければならなくなる。
政府は、まず閣議で合意したあと、国会での合意が必要になるのだが、まず、この閣議で躓いているのである。
政府は15日(停戦直後)、政府は、ユダヤ教政党の要求に応じ、137億シェケルを、正統派社会向けの予算として回すことに合意したと発表した。このうち特に37億シェケルが、ユダヤ教神学校など宗教的な学校への支援や、正統派たちへの10億は食糧支援になるなど、になるなどとなっていた。
当然ながら、野党代表ラピード氏は、これは公金の強奪だと非難している。実際、イスラエルの超正統派人口は急速に増加しており、彼らを支援しつづけるのではなく、彼らにも労働力になってもらわないと、イスラエルの経済にも悪影響になると警告されているのである。
www.timesofisrael.com/cabinet-approves-nis-13-7b-in-state-funds-to-meet-haredi-coalition-demands/
政府のこの動きを受けて、17日、超正統派地域ブネイ・ブラックで世俗派4000人がデモ行進を行った。デモ対と、住民のユダヤ教政党の若者の間で言い争いがあったが、大きな衝突にはならなかった。
しかし、その後、ユダヤ教政党の統一トーラー党は、政府に対し、ユダヤ教神学校も含む教育予算として、さらに追加の6億シェケル(約230億円)を要求。受け入れられない場合は、連立を離脱、言い換えれば、政権崩壊の可能性も示唆した。
すると、宗教シオニスト党のスモトリッチ氏が、もしユダヤ教政党のこの要求が通るなら、自身の党は、連立を離脱するとネタニヤフ首相につめよったとの情報がある。
またこれに先立ち、極右オズマ・ヤフディ党のベン・グビル氏は、ガザとの戦闘が始まる前に、ネタニヤフ政権のガザへの対応が弱すぎるとして、閣議をボイコットして、政権維持への警告を発していた。
その後、ガザへの強力な先制攻撃でイスラム聖戦指導者3人が暗殺され、その後も強力な攻撃が行われたことから、ベン・グビル氏は、閣議に戻ったのだが、停戦後、予算案に関する閣議が行われるようになると、今度は、自らの党が担当するネゲブ・ガリラヤ地域担当省に予算が十分な予算が割り当てられていないとして、再び閣議のボイコットに入っている。
www.timesofisrael.com/liveblog_entry/ben-gvir-and-otzma-yehudit-again-boycott-knesset-vote/
www.timesofisrael.com/dueling-ministers-said-threatening-to-quit-government-over-budget-demands/
イスラエルは、多様すぎる国で、それぞれがまた違う意見を持ち、常に交渉でなんとか乗り越えてきている状態にある。さまざまなデモが行われ、どれもが、イスラエルの旗を掲げている状態である。
そのイスラエルが一致できるとすれば、「共通の敵」というのが、一番効果的な要素であるというのが、なんとも難しいところである。