ドイツといえば、ナチスドイツを産みだした国である。さらに1972年のミュンヘンオリンピックでは、対策の不備により、アラブ人によるテロから、イスラエル人選手11人を守ることができなかったという汚点もある。
また、ドイツは、その事件の情報をイスラエルに開示してこなかったこと、ドイツが提示した補償金が少なすぎるなどで、遺族との間にはまだ問題も残されていた。
ホロコーストについては、これまで、どの大統領も真摯に謝罪を表明し、国をあげての補償を今も続けていることから、イスラエルの市民感情も少しづつ和らいでおり、両国の関係は、まだ傷はあるものの落ち着いている。
ミュンヘンオリンピックの問題については、まだしこりがあったが、今年事件から50周年を迎え、ドイツが新たな補償額を提示。イスラエルがこれを認めたことから、両国の関係はまた一歩前進したようである。
ドイツのシュタインマイヤー大統領は、今年ミュンヘンオリンピック50周年記念式典を計画し、ヘルツォグ大統領をミュンヘンへ招いた。ヘルツォグ大統領は妻のミシェルさんとともに、9月4―6日、ドイツを訪問した。
その中で、シュタインマイヤー大統領は、遺族に対し、以前は1000万ユーロの補償金を提示していたのに対し、今回は2800万ユーロを提示した。ヘルツォグ大統領はこれを承諾し、50周年記念式典にのぞんだ。
この後、ヘルツォグ大統領は、シュタインマイヤー大統領と共に、かつてのユダヤ人強制収容所のベルゲン・ベルゼンを訪問した。この収容所では、ユダヤ人5万2000人、旧ソ連兵士1万9000人が死亡している。ヘルツォグ大統領の父、ハイム・ヘルツォグ前大統領は、イギリス軍兵士として、この収容所を解放した一員だったという。
このドイツからの謝罪と悔い改めの実際の行為が、ちょうど新年が近づいた、ユダヤ教での悔い改めの時期に提供されたことから、正統派ユダヤ教の組織Aish・HaTorahは、ドイツが、ユダヤの律法に従う正しい悔い改めを見せたと高く評価した。
aish.com/the-german-presidents-stunning-act-of-repentance/
ラピード首相もドイツ訪問
続いてラピード首相が11日、ドイツを訪問。タラップを降りる際には、サバイバーたちをともなってドイツの土を踏み、ドイツ軍人に迎えられたことから、「勝利の印」だと述べた。虐殺の対象であったユダヤ人の国イスラエルの首相が、ドイツ政府に敬意をもって迎えられたからである。
ラピード首相はドイツのショルツ首相と、イランとの核合意について話し合い、イランは核保有国になってはならないということで合意した。ラピード首相は、イランとの核合意が暗礁に乗り上げている今、新たな合意を目指すべきだと訴えている。
ショルツ首相は、最近、パレスチナ自治政府のアッバス議長と共同記者会見をした際、アッバス議長が、イスラエルはパレスチナ人に対して、ホロコーストをしていると発言したが、これを否定もせず、沈黙したことで、かなりの非難を浴びていた。
これについてhttps://mtolive.net/ラピード首相が尋ねると、ショルツ首相は、「言ってはならないこと」と否定し、ラピード首相もこれに感謝を述べている。
ドイツは、イスラエルの迎撃ミサイルアロー3システムを購入する動きにあるとの情報があり、ドイツとイスラエルが軍事協力するまでになっている様子は、特記すべきことではないかと思った。