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バイデン大統領サウジアラビア訪問
1)アメリカと湾岸寸には諸国と関係回復へ一歩
7月中旬、バイデン大統領が、イスラエル訪問後にサウジアラビアを訪問した件について。タイムリーにお伝えできなかったが、バイデン大統領は、アブドルアジーズ国王や、モハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談したほか、GCC(湾岸諸国)とイラク、エジプト、ヨルダン9カ国との会談も行った。
ジェトロのまとめによると、この訪問で、アメリカとアラブ諸国の間に13か条の主にビジネス、技術協力などに関する契約や、覚書への署名が行われたという。しかし、原油の増産については、期待されたような成果や発表も行われなかった。
しかし、今回は特に、バイデン大統領が、サウジアラビア(特にサルマン皇太子について)のジャーナリスト暗殺に関する人権問題を非難して、関係が冷え込んでいた所の訪問だったので、それが若干でも緩和されただけでも大きな成果である。緊張するイラン問題、ロシア問題、また中国との対立においても、アメリカは湾岸諸国との協力が欠かせなくなっている。
アラブ諸国側も、概ね肯定的にバイデン大統領の訪問を受け止めているとのこと。
www.jetro.go.jp/biznews/2022/07/5380ff7faa5a1e1e.html
2)サウジアラビアとイスラエルとの国交に大きな変化はなし
一方、イスラエルとの関係について、結果的には、サウジアラビアとイスラエルの国交が新たな段階に入るとということには、ならなかった。
サウジアラビアはまだ、アブドルアジーズ国王(86)が最高権威者であり、パレスチナ問題の解決なしに、サウジアラビア(イスラムの最重要都市メッカがある)としては、容易にイスラエルと手を組むことはまだありえないという立場は崩していない。
そのパレスチナ問題とは、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の設立という、イスラエルが絶対に飲み込めない点のことである。イスラエルとサウジアラビアが、政治的にも手を取り合うのは、もう少し先になりそうである。これについては、バイデン大統領も、承知の上であったとも言われている。
また時期悪く、この同じ頃に、どのようにして入ったかは不明だが、イスラエル人メディアがメッカに入って、中継したことが、大問題となった。メッカにイスラム教徒以外が入ることは、違法にあたる。幸い、この問題が、その後大問題になることはなかったようだが、なんともイスラエル人らしい。。。といえなくもない。。
いずれにしても今の所、サウジアラビアとイスラエルの外交関係に、今の所、表立った変化はないということである。
www.aljazeera.com/news/2022/7/20/israeli-journalist-sneaks-into-mecca-triggering-online-backlash
サウジアラビア上空飛行許可:エルアル機が東京テルアビブ直行便開始へ
ただし、サウジアラビアは、バイデン大統領の訪問に合わせて、領空を外国旅客機が飛ぶことを受け入れると発表していた。これは、非常に大きな一歩である。イスラエル人は、メッカには足を踏み入れられないが、その上空は飛べるということなのである。
これを受けて、イスラエルのエルアル航空は、さっそく、東京とオーストラリアを結ぶ直行便の開始に向けて準備すると発表した。
東京からの直行便は、コロナ前に始まる予定だったが、コロナ・パンデミックにより、保留にされたまま、今に至っていた。
直行便がいつから始まるのかは、まだ不明だが、これが実現すれば、たとえばオースとラリアのシドニーからテルアビブまでは、わずか15時間だという。東京からテルアビブはもっと短いかもしれない。
www.jpost.com/business-and-innovation/all-news/article-713214
今後、イスラエルと日本の観光交流が増えていくことが期待できそうである。