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フィンランドとスウェーデンがNATO加盟へ前進か
ロシアはNATO勢力の拡大を懸念して、ウクライナ侵攻を始めたのだったが、逆にNATOの拡大を後押ししているようである。
1)ウクライナEU加盟候補国に
ウクライナは、ロシアの侵攻がはじまってすぐ、EUへの加盟申請を行っていた。
これについて、EUは6月23日、ブリュッセルで開かれていたEU首脳会議で、ウクライナとモルドバをEU加盟候補国に決定すると発表した。
候補国であってまだ加盟が決まったわけではないが、ミッシェルEU常任議長は、歴史的な日だと語っている。
なお、ジョージアもEU加盟申請をしている。
2)フィンランドとスウェーデンNATO加盟申請その後
フィンランドとスウェーデンは、NATOへの加盟を申請していたが、両国がトルコが宿敵とするクルド人を保護しているとして、トルコがこれに反対し、先には進んでいなかった。
ところが、28日、トルコのエルドアン大統領と、フィンランド大統領、スウェーデンの首相、NATO事務総長が、スペインで会談。互いの安全について協議し、それぞれが納得できる覚書に合意したとのこと。
これにより、トルコは、フィンランドとスウェーデンが、NATOに加盟することに合意すると、その態度を一変させた。これにより、両国のNATO加盟は、実現に向かうとの見通しとなった。
ロシアがベラルーシに核弾頭搭載可能なミサイル配備を表明
フィンランドとスェーデンが、NATOに加盟するとなると、ますますNATOの圧力が強くなるだけでなく、バルト海に面するロシアの離れ小島、カリーニングラードが孤立することになる。
こうした状況からも、ロシアは、ここに核弾頭配備可能なミサイルイスカンデルを、以前から配備している。
また、カリーニングラードを拠点として、バルト海にロシア艦隊を送り込み、NATO艦隊とみらみあうなど、危うい行動もとっていたのであった。
ところが、今月、カリーニングラードと国境を接するリトアニア(NATO加盟国)が、EUの制裁措置カリーニングラードへの石炭、金属、建材などの鉄道移送を停止すると表明。
ロシアは、これは宣戦布告に近いものだと大いに非難した。
プーチン大統領は、サンクトペテルブルグで、同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、数ヶ月以内に、核弾頭を装着可能なミサイル、イスカンデルMなどの配備を約束した。
イスカンデルMの射程は、500キロで、いわば、ヨーロッパ諸国を核の標的にするとの脅迫である。ロシアとベラルーシは、リトアニアの政策を批判した。
第三次世界大戦の火種!?:カリーニングラード
そのカリーニングラードには、ポーランドとリトアニアが接する狭い国境、スバウキ回廊(やく100キロ)が続いている。
もしここをロシアが、カリーニングラードとベラルーシと協力して封鎖すると、バルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア・いずれもNATO加盟国)が、陸路補給路を断たれて孤立し、ロシアとカリングラードに包囲されてしまう可能性が出てくる。
カリーニングラードの件で、リトアニアに怒りを表明しているロシア。もしかしたら、ここからロシアとNATOの直接対決。言い換えれば第三次世界大戦への扉が開いてしまうかもしれないということである。