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イラン情勢が緊張し、イスラエルとロシアの関係が、微妙な動きを見せる中、トルコとロシアが接近する動きがある。
フィンランドとスウェーデンNATO加盟に反対のトルコをロシア外相が訪問
2017年ごろ、ロシアとトルコ、イランは、シリア問題で協力を始めていた。しかし、トルコはロシアやイランと対立するNATOの一員である。それぞれの国益が違いすぎたか、その後、この3国が、めだって関係を深めることはなかったと思う。
しかし、トルコは、フィンランドとスウェーデンが、NATO加盟を申請したことについて、妨害する動きに出ている。トルコは、両国がNATOに加盟する条件として、それぞれがシリア内戦の中で、受け入れたクルド人難民をトルコに引き渡すことやトルコへの制裁の解除を要求しているのである。
www.nikkei.com/article/DGXZQOGR170100X10C22A5000000/
無論、スウェーデンもフィンランドは、一旦受け入れたクルド人たちを、その宿敵であるトルコに引き渡すことは拒否している。このため、両国のNATO加盟は、暗礁に乗り上げた形である。(NATO加盟には30カ国全部の承認が必要)
これはロシアにとっては都合のよいことであろう。ロシアのラブロフ外相は、8日、別件ではあったが、トルコを訪問して、チャウシュオール外相と会談した。
目的は、ロシアに、ウクライナ代表も含めて、黒海を経由してウクライナの食料移送に関する話し合いをするよう、トルコが進めたとのことだという。ロシア・ウクライナの穀物輸出が停止していることを受けて、アフリカなどで食糧危機が懸念されているためである。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアを信用できないと表明しているので、すぐに実現するかどうかは不明だが、トルコは、ロシアに他のNATO加盟国より、若干でも近いという利点を生かして功績を上げたい考えのようである。
jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-turkey-russia-idJPKBN2NK1L9
過去にスウェーデンを“奪還”したピョートル大帝を称賛するプーチン大統領
10日、ロシアのプーチン大統領は、17世紀末から18世紀にロシアを支配したピョートル大帝生誕350周年イベントに出席した。ピョートル大帝は、ロシアの近代化とともに、領土を大きく拡大したことで知られる。
プーチン大統領は、当時ロシアがスウェーデンをとったのではなく、本来、ロシアの領土であったところを、取り戻ししただけだとの認識を語った。今回のウクライナ侵攻も、プーチン大統領にとっては、本来の領土を回復したという認識であるということである。
www.bbc.com/news/world-europe-61767191
トルコの立ち位置が、NATOとロシアの間に立っている様相で、今後、ロシアに近づいていくのか、注目されるところである。