14年ぶりに和解への一歩:ヘルツォグ大統領夫妻がトルコを公式訪問 2022.3.11

GPO

9日、イスラエルのヘルツォグ大統領夫妻が、トルコのエルドアン大統領の招きに応じる形で、トルコを公式に訪問した。

イスラエルとトルコの首脳が直接会うのは、2008年以来、14年ぶりで、歴史的なできごととなった。

しかしながら、トルコとイスラエルは、中東の中では、唯一の民主国家として、良い関係を結んでいたのである。それを一方的に方向転換し、国内のイスラム化をはかり、急にハマスへの支援まで始めたのは、エルドアン大統領、その人である。

トルコに見捨てられたイスラエルは、しばらくの間、厳しい孤立を経験させられたのであった。ところが、それをひっくり返す出来事が起こる。ハイファ沖に発見された天然ガスである。これをめぐって、イスラエルは、ギリシャやキプロスとよい関係になることができた。

今のロシアとウクライナの問題で、ヨーロッパに厳しいエネルギー不足が予測される中、もしかしたら、このイスラエルの天然ガスが注目されはじめる可能性もある。

こうした動きがあったこの14年ほどの間、トルコは、経済的にもかなりの打撃を受け、問題も山積みとなった。今、急に気を変えて、イスラエルともういちど仲直りしようとしているわけである。無論、トルコとは仲良くしておくほうが、イスラエルにとっては現実的には好ましいので、過去のことはすっかりわすれて、ヘルツォグ大統領は、喜んでこの招待を受けたということである。

トルコでの24時間の滞在中、ヘルツォグ大統領は、エルドアン大統領と会談した他、ヘルツォグ大統領夫人えミーンさんと、国立図書館を訪問している。また、ヘルツォグ大統領府夫妻は、イスタンブールにある壮大なシナゴーグを訪問している。

会談の内容や、その分析はまた別の記事でと思う。しかし、先ほど入ったニュースによると、仲直りの印に、トルコは、イスラエルにとっては非常に貴重なダビデの町の、ヒゼキヤトンネルに関する考古学発掘物を、イスラエルに返還するとのことである。トルコの本気がうかがえるかもしれない。

www.timesofisrael.com/israeli-official-turkey-agrees-to-return-ancient-hebrew-inscription-to-jerusalem/

しかし、トルコ国内では、イスラエルとの関係改善に反発する人々もおり、イスラエルの旗を路上で燃やすなどの動きも伝えられている。

執筆中

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。