インフルエンザ入院1849人:コロナとダブル・パンデミックも懸念 2021.12.30

フラ湖の様子 写真:国立公園

コロナより危険?インフルエンザ猛威

コロナ問題で影になってしまっているのが、インフルエンザの問題である。昨年は、感染が特に問題になることはなかったのだが、今年は、インフルエンザのワクチンをしない人が多かったせいか、病院に入院しているインフルエンザ患者が急増している。

保健省によると、インフルエンザで入院している人は1849人。コロナの実に20倍以上である。しかもこもうち、605人は子供で、124人は妊婦んとなっている。すでに2週間前に、エルサレムの妊婦1人(31歳)の死亡も確認されている。

幸い、9ヶ月の胎児は帝王切開で、未熟児ではあるが、無事とのこと。また、6歳児も高熱の中、眠りから覚めることなく死亡した。保健関係者は、風邪による心筋炎が原因とみている。

保健省は、インフルエンザのワクチンがコロナのワクチンと同時になっても大丈夫だとして、6ヶ月以上のすべての国民に、ワクチン接種を促している。

www.timesofisrael.com/close-to-2000-hospitalized-with-flu-in-israel-says-health-ministry/

北部で鳥インフルエンザ猛威:人への転移可能性も懸念

イスラエルは、渡り鳥が行き来する接点にあたる。特に北部フラ湖では、夏、冬になると、約400種類、5億羽ともいわれる美しい野鳥がやってくる。そのフラ湖で、これまでで最悪とみられる5000羽の死骸が発見された。鳥インフルエンザでも感染率が高いH5N1とみられる。

鳥インフルエンザは、最初、10月から、各地の養鶏場で発生していたが、今月に入ってから、急速に感染が拡大している。野鳥たちが拡散している可能性がある。レバノン国境に近いモシャブ・マルガリオットで確認され、鶏50羽が処分された他、フラ湖北部のイズレエル平原方面の養鶏場も影響を受けているもようである。

www.timesofisrael.com/grim-cleanup-of-cranes-that-died-of-bird-flu-begins-in-hula-valley-reserve/

イスラエルが野鳥の交差点になることから、鳥インフルエンザが、全世界に拡大していくことも懸念されている。

また、この鳥インフルエンザだが、通常は、人への感染はない。しかし、感染学専門家で、イスラエル社会福祉委員会議長のアムノン・ラハッド教授は、オミクロンほどの感染スピードはありえないが、変異のあるなしにかかわらず、人に感染する可能性も否定せず、懸念すると語っている。

保健省は、近隣の人々の鳥の死骸には触らないよう、また、規定外の卵は買わないよう、警告を発している。また、2012年に鳥インフルが発生した際、猫にも感染が確認されたことから、今回も猫にも注意するよう、住民に警告が出されている。

www.timesofisrael.com/avian-flu-killing-birds-in-israel-could-jump-to-humans-warns-epidemiologist/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。