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イスラエルは3回目接種続行:ベネット首相
金曜、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)は、ワクチンの3回目接種は、65歳以上かハイリスク患者に限るとの方針を発表した。しかし、ベネット首相は、これまでの方針を変えることなく、3回目接種(ファイザー)を2回接種したすべての12歳以上の市民に促していくと発表した。
保健省公衆衛生担当のシャロン・アロイープレイス博士もこれに同調し、「イスラエルはアメリカより3ヶ月先を行っている。」とし、FDAもやがて3回目接種を推奨するようになるとの考えを明らかにした。
イスラエルでは、10月1日より、ワクチン接種2回終えていても、半年をすぎても3回目接種を受けていない場合は、未接種者と同じ扱いとなり、週に2回検査を受けて陰性を証明しないとグリーンパスを使えなくなるとの方針が発表されている。今のところ、この方針に変更はないということである。
しかし、3回目の安全性については、十分なデータがないとして、慎重論もある。これについて、免疫学の専門家であるバルイラン大学のシロアム・コーヘン博士は、イスラエルには、3回目接種が始まってから2ヶ月のデータがあるとして、その中から、特に60歳以上の場合、重症化する可能性は4倍低く、3回目接種を受けると40倍低くなると強調。3回目接種には明確な有効性があると主張する。
また、アフリカなどワクチン接種が行き渡らない国がある中、イスラエルが3回目を進めるのはどうかとの質問に対し、イスラエルは小さな国であり、後進国にワクチンを譲っても大した効果にはならない。一方で、世界が、先を行くイスラエルのコロナ対策の動向を依存にしていることを思えば、イスラエルが3回目接種をやめないことには意義があると述べた。
FDAの発表で、イスラエルでも3回目接種を控える人が出てくるのではないかと懸念されているが、今のところ、3回目ブースター接種に来る人が極端に減ったといった報道はない。
なお、イスラエルでは、これまでに1回目ワクチンを受けた人は606万人。2回ワクチンを終えた人は557万人。このうち、3回目ワクチン接種を終えた人は、303万人。40歳代が61%、30歳代が40%、20歳代は37%、16-19歳は37%となっている。若年層はまだ多くが3回目を終えていないが、10月までには、かなりの人が3回目を終えると予想されている。
週末の感染状況は、金曜日4863人、土曜日5344人。重症者は717人。実効生産数は1を下回ったり上回ったりと変動しているが、24時間の感染者が1万人を超えていた時からすると、減少しているといえるだろう。
イスラエルでパンデミックが始まってから感染が確認された人は約122万人。死者は7507人となっている。
こうしてみると、ワクチンか、感染かで、ある程度の抗体を持つと考えられる人は、全人口の78%を超えている。イスラエルは、日本とちょうと逆で、14歳以下の子供が27.8%、65歳以上が12.4%である。若すぎてワクチンを受けられない子供達を差し引くと、ワクチンを一回も受けてない人は70-80万人と推測される。
EUがイスラエルのグリーンパスを受け入れへ:旅行業回復に期待
ヨーロッパ諸国のワクチン2回接種完了率は、フランス64.2%、ドイツ63%、イギリス66.6%、イタリア65.5%、スペイン76.2%などとなっている。
先週15日、EU諸国とイスラエルが、それぞれのグリーンパスを受け入れることで合意した。これにより、EU諸国のグリーンパスを持っている人はイスラエルでも、レストラン等への入場が許可されることになる。実施は10月初頭に予定されている。ただし、現在、イスラエル人の入国を認めていないポルトガルとスウェーデンは、この合意には含まれていない。観光だけでなく、ビジネスにおいても回復が期待されている。
世界は徐々に、ウイズコロナで、感染が拡大していても、ワクチン接種により、通常に戻ろうとする状況になりつつあるようである。