感染再び24時間で1万人以上: 新年ウマン巡礼者1400人帰国時陽性 2021.9.13

ウマンから帰国した巡礼者たち AFP

1日感染者1万人超え:新年ウマン巡礼者1400人がコロナ持ち帰り

イスラエルでは、1日の感染者は少ない日で3000人代、感染の指標となる実効再生産数も0.95と1を切るまでに減少したが、まだかなりの変動があり、この週末、再び1万人超えとなった。重症者も再び増加に転じて697人。

www.timesofisrael.com/over-10000-new-virus-cases-on-saturday-as-transmission-rate-rises/

こうした中、海外から帰国する人の中から感染者の発見が相次いでいる。特に新年で、ウクライナのウマンに巡礼に行っていた超正統派ブレスレブ派の男性約1万7000人中、1400人が、帰国した際に空港の検査で陽性であることが発見された。

www.ynetnews.com/health_science/article/hjugxqozk

ウマンへ行った人々の中には、実際にはワクチン接種を受けていないのに、受けたと偽の情報でグリーンパスを受け取った人もいることがわかった。秋の例祭で、大勢が集まる超正統派社会での感染拡大に懸念が広がっている。

一方、保健省公衆衛生担当のシャロン・アルロイ・プレイス氏によると、感染、重症となりECMOに依存している患者27人のほどんとは60歳以下で、90%はワクチン接種をしてなかった人だという。

www.timesofisrael.com/vast-majority-of-serious-covid-19-cases-are-unvaccinated-says-health-official/

イスラエルでは、検査が格段に行われているので、感染の動向が少しづつ可視化してきているかもしれない。しかし、安心して例祭を過ごしたいと思う人も増えているのか、検査数が追いつかなくなっているもようである。

検査希望者急増で待ち時間3時間:条件緩和へ

イスラエルでは、ワクチン接種とPCRの陰性証明で得られるグリーンパスの活用で、社会生活が継続されている。12歳以下の子供たちはまだワクチン接種を受けていないので、親子でプールに行くにも陰性証明をとらなければならない。なお、現在、陽性、または濃厚接触で隔離に置かれていることもたちは、15万人である。

www.timesofisrael.com/bennett-says-israel-to-genetically-scan-all-arrivals-for-the-coronavirus/

加えて、秋の例祭シーズン(来週から1週間の仮庵の祭り休暇)となり、長期休暇で、帰省したり、レジャーに出かけるなどで、陰性証明を必要とする人が激増している。このため、全国に、200箇所近くあるドライブスルー検査場は、連日長蛇の列となっており、3時間まちも普通だという。

無症状の人が、安全のために受けているのは、15分で結果が出る迅速抗体検査である。検査費用は、1回52シェケル(約1700円)だが、結果の有効期限は24時間しかない。このため、同一人物が何度も検査を受けているため、保健省は、混雑を軽減するために、有効期限を48時間にすることを検討している。

また、ホテル宿泊の際には、ワクチン接種を受けておらず、過去にコロナに感染したこともない人については、正規のPCR検査での陰性証明が必要とされている。来週から始まる仮庵の祭り期間中は、死海やエイラットなど、全国のホテルに宿泊する人が増えるため、この規制の緩和も検討するとのこと。

さらに、訪問検査については、国が補助する形で10シェケル(330円)で受けられるようにするとのこと。イスラエルではとにかく検査をして、陽性者を効果的に隔離し、陰性の人は自由に社会生活をというのが戦略である。

この点、日本では、基本、病気になってはじめて検査を受けるという体制が、今も変わっていない。方針の大きな違いである。

www.timesofisrael.com/validity-of-rapid-coronavirus-tests-reportedly-to-be-doubled-to-48-hours/

石のひとりごと

イスラエルは小さい国で、危機管理にいとまがない国である。対策の変化は早い早い。特にIT出身のベネット首相は、常に考えているのか、とにかく対策に出るのが早く、ついていけないほどである。ともかくも、早くコロナからの脱出を祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。