今年も静かなメッカのイスラム教ハッジ(巡礼)2021.7.19

今年のハッジ スクリーンショットhttps://www.youtube.com/watch?v=6bYK5fNw_n4

サウジアラビアのメッカでは、17日、ハッジ(イスラム教巡礼)が始まった。しかし、世界中で今も新型コロナ、特に変異デルタ株が蔓延していることを受け、サウジアラビア政府は今年も、国外からの巡礼を受け入れないことを決めた。

サウジアラビア(人口約3500万人)での新型コロナ感染は、1日1000人程度、重傷者は1300人で死者は毎日12-13人と、特に大きな爆発感染にはなっていない。

しかし、ハッジを受け入れてしまうと、世界中に250万人いるイスラム教徒がいっせいに入国して、超密状態になる。感染拡大が国内だけでなく、世界にも広がっていくと懸念されるためである。

今年、ハッジに参加できるのは、サウジアラビアに住んでいる人で、ワクチン接種を終えているわずか6万人(16-65歳)のみとされている。

昨年に続き、今年も、カーバ神殿の周りを回っている人は、パーソナルディスタンスを守りながら回る人々だけである。

<かなりハイテクなメッカの様子>

カーバ神殿での巡礼に参加する人は、スマホに記録されているワクチン接種の記録や、病歴、食事や交通機関情報などを提示して、中に入っている。入る人はガイドに導かれたグループごとの動きになる。またその動きは、遠隔で監視されている。

人々の移動は、完全なバブル方式。施設内では、ロボットが水を持ち回っている。

以下のアルジャジーラのニュースをみると、サウジアラビアのすぐれたコロナのIT管理を伺うことができる。またきている人は、裕福な人だけにもみえる。

 

イスラム教とにとって、メッカへのハッジは、一生に一度の夢である。それが2年も開催されていないことは、特に、来年はないかもしれない、高齢のイスラム教徒にとって、つらいことのようである。

このロックダウンの経済への影響も大きい。ハッジでは毎年、80億ドル(9000億円)の経済効果があるという。それが2年もないわけである。しかし、サウジアラビアは裕福なので、それが大きな影響になっている様子はなさそうである。

*以下は2012年のハッジの様子

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。