トランプ大統領新型コロナ陽性で入院 2020.10.5

イスラエルが仮庵の祭りに入る2日、トランプ大統領夫妻の新型コロナ感染という爆弾ニュースが届いた。トランプ大統領は、ホワイトハウスを出て、軍の病院に入院。まだ実験段階にある薬も用いて、治療を受けたとのことである。

入院は数日の予定で、その間、病院から執務を続けると言われているが、トランプ大統領の健康状態については、順調に回復しているという報告とともに、一時血中酸素が落ちたなど、情報が錯綜している。

こうした中、トランプ大統領は5日に、病院外の支援者を驚かそうと一時外出し、セキュリティの人々を感染の危険のさらしたと、これまた論議をかもした。(写真:スクリーンショット)

もしトランプ大統領がこのまま重症化して、執務も選挙運動にも出られないことになれば、イスラエルや中東に及ぼす影響も決して小さくないだろう。全世界は、今、トランプ大統領の健康状態を注視している。

<石のひとりごと:イスラエル・中東への影響は?>

イスラエルと中東は、今、トランプ大統領の世紀の取引に基づいて、大きな変革の時代を迎えている。

UAE,バーレーンは、イスラエルとの国交を回復したが、サウジアラビアなど、その他の国は、トランプ大統領が、留任するかどうかを見てから動く始めるものとみられている。トランプ大統領が、万が一倒れるようなことがあれば、中東でのこの大きな合意への動きが本物であったかどうかが明らかになるとみられる。

もし本物であれば、トランプ大統領が倒れても、イスラエルと湾岸諸国は、対イランという点で一致し、なんらかの協力体制も継続されていくだろう。他の国が続いて、イスラエルと国交を開始するかもしれない。

しかし、トランプ大統領あっての取引で、ここまで来たという一時的なものであれば、そうはならない。万が一、バイデン大統領に交代になった場合、これまでの動きが崩れていく可能性も否定できないと、フリーマン在イスラエル米大使は語っている。

www.timesofisrael.com/us-envoy-friedman-if-biden-wins-it-will-will-be-bad-for-israel-gulf-on-iran/

またアメリカが、UAEに、合意の代償として、F35ステルス爆撃機の販売を約束したことについても、変化がでてくるかもしれない。

現在、中東でこれを保有するのはイスラエルだけである。それで軍事力最強の立場を守っているイスラエルにとっては、これが、たとえ合意にいたったとはいえ、アラブの手に渡るということは致命的な治安の脅威になりうる。今のアメリカ政権は、イスラエルの治安は保証すると言っているが、バイデン氏になった場合、どうなるかはわからない。

ネタニヤフ首相は、非常に先まで読む人なので、アメリカの大統領選挙の結果がどちらにころんでもよいように、トランプ大統領が在職中にできるだけのことをしていたようにみえる。仮にトランプ大統領が倒れるようなことがあっても、まったくの想定外と慌てることはないとは思う。しかし、何が起こるのかがわからないというのが中東である。

一方、イランやトルコ、ロシアなど、イスラエルとアメリカに対立する国々は、今、固唾をのんで、トランプ大統領が回復するのかどうかを見守っているだろう。邪魔者であるトランプ大統領が消えてくれることは、これらの国にとって好都合になると考えられる点が多い。

これは石のひとりごとに過ぎないが、トランプ大統領はあまりにも多くの敵を持つ人物なので、ひょっとして、このままトランプ大統領が倒れてくれることに、呪いでもかける人や国もあるのではないか。

石は、トランプ大統領支持者というわけではないが、トランプ大統領は、これまでに成したことをみれば、聖書的であったことは否定できない。エルサレムをイスラエルの首都とし、イスラエルとともにイランと戦い、聖書の価値観をもって、中絶と戦い、同性愛者に関する政策も聖書的に進めてきた。福音派の支持を受けていた大統領である。

しかし、いかんせん、トランプ大統領は、下品をきわめ、ジャイアンのような強行突破型であるがゆえに、普通の人でもトランプ大統領に反感を持つ人々は決して少なくない。

トランプ大統領が、もしこのまま倒れた場合、バイデン氏の下で、再び左派、ポリコレのオバマ大統領時代が復活、前進し、社会に福音を伝えようとするクリスチャンたちの立場はどんどん厳しいものになっていく可能性が出てくる。

トランプ大統領の打倒を願う陣営との戦いの背後に霊的な戦いの一面もあるのではないかと感じるところである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。