コロナ有症者1万人突破:超正統派地域・アラブ地域で多数 2020.7.4

テルアビブ市内 出展:i24 スクリーンキャプチャhttps://video.i24news.tv/details/_6169262986001

イスラエルでは、木曜から新たな感染が1000人を超え、金曜夜の時点で1130人。症状の出ている有症者が1万人を超えた。重症者は77人。人工呼吸器依存者は27人。死者は24時間で2人増えて326人。(Worldmeter)

政府は、集会での人数制限を強化したが、バスなど公共交通機関、レストランなどはこれまで通り開いていることから、人々は、おおむね通常の生活を続けている。ニュース映像などで見る限り、特にテルアビブでは、マスクをしている人は、10%ぐらいだろうか。テルアビブでは、ソーシャルディスタンスもあまり守られていない。

町で感染対策を取り締まる警察の様子(Kan News)

人々に警戒がみられないことについて、前回、専門家たちが最悪の事態を警告して、そうならなかったことから、政府への信頼が薄れてしまい、感染予防への緊張感がなくなったのではないかとの見方もある。

また、検査数が拡大して、感染者と感染してない人の分離分析もある程度できていることも人々の油断につながっている可能性もある。

イスラエルの検査数は、日本の10倍以上にあたる1日2万件以上で、感染率は4.6%。検査の結果、今回もユダヤ教超正統派地域と、アラブ人地域の感染率が一般地域より高いということがわかっている。

しかし、専門家たちは、このまま放置すれば、2週間後には、イスラエルは再びロックダウンに入らざるをえなくなると警告している。

<エルサレムの現状>

エルサレムの感染者数は、3日深夜時点で、累計487人。このうち32%は19歳以下で、14%は学校で感染している。

2日(木)のデータでは、エルサレムの感染者160人のうち、72人がユダヤ教超正統派地域で、42人が、東エルサレムのアラブ人居住区住人であった。感染率で見ると、一般市街地の感染率が5%であるところ、超正統派地域では17%ということになる。超正統派地域での感染は、主に家庭内感染とのこと。

www.ynetnews.com/article/rJXSdChR8

超正統派たちは、前回、クラスターになって以来、一般の感染予防をかなり守るようになったのだが、狭いところに多数の家族が住んでいる社会・住居環境から、家族間の接触の多さはさけられないとみられる。

チャンネル12が伝えたところによると、超正統派たちは、一般社会から感染源のようにみられることを避けるため、超正統派の間で、独自の検査を行って感染予防に努めようとする動きもあるという。この場合、私的な検査になるので、政府が出す感染者数に入っていない可能性がある。

www.timesofisrael.com/pm-declares-major-outbreak-as-active-virus-cases-soar-past-10000-for-1st-time/

東エルサレムのアラブ人地域については、情報がかなり限られているので、どうなっているかはよくわからない。観光に依存してきた地域だけに、貧困が気になるところである。神殿の丘への入場は可能になっている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。