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世界とニューヨークの現状
新型コロナのパンデミックは拡大を続け、世界の感染者は、100万人を超えて、101万5059人となった。死者は、5万3167万人。
特に厳しいのがアメリカで、感染者は、アメリカ一国だけで、全世界の約4分の1に近い24万4877人。死者は、10分の1を上回る6070人を記録。
アメリカの防衛にも影響がではじめている。乗組員5000人の空母セオドア・ルーズベルトから、114人の感染が確認された。現在、グアムに停泊。2700人が下船した。横浜にいる空母ロナルド・レーガンにも感染者が出ているとのこと。
www3.nhk.or.jp/news/html/20200403/k10012365751000.html
感染拡大とともに、経済の崩壊への足音も深刻だ。アメリカでは、全国で失業保険を申請した失業者が660万人を超えた。日経新聞によると、今後、労働者が不足して、食糧供給難になるとの警告も出始めているという。これは予想以上の影響を世界に与える大惨事になるかもしれない。
www.nikkei.com/article/DGXMZO57606590T00C20A4I00000/
そのアメリカで最も深刻なのがニューヨーク州で、全米感染者の3分の1以上にあたる9万2381人がニューヨーク州である。死者も全国の3分の1を超える2538人となった。
ニューヨーク州の中でも深刻なのが、マンハッタンを含むニューヨーク市である。ニューヨーク州感染者9万2381人のうち、52000人がニューヨーク市在住者である。死者は、過去24時間で188人増えて1562人となり、州全体の半数を超えた。
なかなか想像がつきにくいが、ニューヨーク市の面積は783㎢で、東京(23区)は622㎢。いわば、東京だけで、24時間の間に、120人以上死亡ということだが、東京の人口はニューヨークの倍近くあるので、24時間に、東京だけで200人近くが死亡しているという感じだろうか。
クオモ州知事は、現在州にある人工呼吸器は2200台あるが、それを必要とする患者が1日350人増えており、このまだと、ニューヨークは6日で、人工呼吸器不足に陥ると語る。また、ピークはまだ4月末との見通しと語り、今後まだまだ死者が出る懸念を表明し、各州からの応援を要請している。
2日、1000床ある海軍の病院船が、ニューヨークに到着した。
ニューヨーク州で、感染者が多いことについては、ニューヨーク市、マンハッタンなどで、ホームレスが多いこと、またクイーンズ、ブルックリンには貧困層の多い地域があり、一つのアパートに大人数がすんでいることなどが挙げられている。この地域には、ユダヤ教超正統派が多いことも注目されている。
ニューヨーク市のユダヤ人
ニューヨーク市で、ユダヤ人が最も多いのは、ブルックリンで、地域人口の5人に1人にあたる56万人がユダヤ人。マンハッタンを含むニューヨーク市まで拡大すると,総人口862万人中、110万人がユダヤ人である。
人数が多いこともあるが、3月中旬より、超正統派ユダヤ教徒の居住地で感染者が急速に拡大していることが指摘されていた。
www.nytimes.com/2020/03/18/nyregion/Coronavirus-brooklyn-hasidic-jews.html
ニューヨークでは、昨年12月、ラビ・ヨセフ・ニューマン(72)が、反ユダヤ主義テロで頭を刺され、今年3月に入って死亡するなど、反ユダヤ主義暴力の急増がみられている。その中で、コロナ危機が、ユダヤ人の間で拡大しているのであるから、今後、差別や暴力がが加速することはおおいにありうる。
www.timesofisrael.com/in-the-eye-of-nys-coronavirus-storm-ultra-orthodox-face-rising-anti-semitism/
コロナ危機に押し出されて、先月、クラウンハイツ(ブルックリン)ハバッド派の超正統派イシバ学生114人が、イスラエルに帰国した。このうち65人が、ホテルでの隔離に直行となったが、後の検査で、65人全員の感染が確認された。
www.timesofisrael.com/how-israelis-fleeing-the-coronavirus-in-new-york-met-contagion-in-the-skies/
その後、今もばらばらニューヨークからイスラエルに帰国している人がいるが、どういうわけか、ほとんど素通りになっていると報じられていた。
www.timesofisrael.com/despite-pms-order-arrivals-from-new-york-still-not-taken-to-quarantine-hotels/
石のひとりごと
新型コロナについて、「インフルエンザの方がはるかに多数の感染者と死者を出している。だから新型コロナの死者数を出さないようにして、大騒ぎしないほうがよい。国を封鎖して経済が破壊されることも問題だ。」との意見がある。
確かに数字だけをみればそうなので、確かに・・と筆者も思ったことがある。しかし、だからといって、今の新型コロナを受け入れるしかないという考え方にはどうも納得いきかねるので、正直、説明つかない思いもあった。
しかし、今思うことは、死んでいく人々の数が多い少ないかにかかわらず、その一人一人、神から命と使命を与えられた人であって、人生も家族もあった人だということ。わずか数日の間に、いきなり家族と遮断され、たった一人の状態で、死が彼らを奪っていくことをそのまま受け入れるなどできるはずがない。
救われないまま死んでいく人も少なくないはずだ。たとえ、失敗したとしても、無駄になったとしても、できうることはすべてやって、守れる命は一つでも守るべきである。
言うなれば、逆にこれまで、何十万人も死んでいく人がいたにもかかわらず、インフルエンザをここまで放置していた方がおかしかったのではないだろうか。そのツケがきて、今、恐ろしく素早く命をうばっていく、この超・こうかつなウイルスと戦わざるをえなくなっているのではないだろうか。
とはいえ、経済危機から失われる命があることもまた現実の懸念なので、そこは非常に難しいところである。
私たちは、この大きな世界規模災害を通して、とてつもなく大きなことを学ぶことになるかもしれない。今、先頭で戦ってくれている国々のリーダーたちや、医療関係者、警察、軍、すべてこのことのために働いている人々に感謝しつつ、とりなし、祈らなければならない。
また、今回、超正統派ユダヤ教徒という明らかにユダヤ人とみえる人々の間で、感染が拡大していることに大きな懸念を覚える。反ユダヤ主義が悪化することはさけられないだろう。なぜこういう形になったのか。それは神のみが知ることだろうが、理解に苦しむところである。
今後、ユダヤ人の律法の考え方も変わってくるかもしれない。ユダヤ人のイスラエルへの帰還にも拍車がかかっていくだろう。いずれにしても、ますますユダヤ人がイスラエルに集中する時代が近くなりそうである。