エデルステイン国会議長(リクード)は、コロナ危機に集中する必要があるとして、就任したばかりの国会は、23日からの開会とすると発表した。すると、それまでの間、ネタニヤフ首相がなんの監視もなく独走できる、民主主義の崩壊だとして、世論の間に激しい反発が出た。
19日、100台にも及ぶ車両が、反対派を乗せて、国会周辺地域に到着し、「イスラエルの民主主義を守る」とのバナーをかかげ、国会開会の延期に反対する激しいデモを行った。デモ隊は、警察と衝突。5人が逮捕された。
野党は、「警察が民主主義に反する行為をしている。」と批判したが、警察は、「法の維持と社会の平安を守っている。」と反発した。
www.timesofisrael.com/demonstrators-protest-knesset-closure-scuffle-with-police-in-jerusalem/
エデルステイン国会議長は、今、政府がコロナ危機に集中するためであって、国会がなくなったわけではない。23日には開会する。民主主義は終わっていないと、説明した。
またエデルステイン国会議長は、青白党のガンツ氏が、エデルステイン氏を議長から退任させるための投票を国会で計画していたとして、国会開会を延期にせざるをえなかったと述べた。
<なぜ国会開会を延期したのか:リクードと青白党の攻防>
現在、青白党ガンツ氏は、大統領から連立政権たちあげの指名を受け、ネタニヤフ首相のリクードと、統一政権にむけた交渉を始めている。
ガンツ氏自身は、これまで、犯罪者ネタニヤフ首相の下での統一政権はありえないと主張していたが、コロナ危機に際し、国のためにはそれもありうるとの姿勢を表明している。
www.timesofisrael.com/in-shift-gantz-doesnt-rule-out-sitting-in-government-with-netanyahu-as-pm/
しかし、青白党の主要メンバーである、ラピート氏(未来がある党)と、ヤアロン元防衛相は、これに反発している。ガンツ氏は、まずはネタニヤフ首相が先に首相になってもよいと考えているが、この2人は、これを認めておらず、もしネタニヤフ首相が先になれば、青白党を離脱する可能性もある。
ネタニヤフ首相が先になるとするには、青白党に相当有利な条件を引き出さなければならない。ガンツ氏が提案している国会の準備委員会と、エデルステイン国会議長の更迭は、国会において、青白党の力を大きくするものである。
エデルステイン国会議長(リクード)は、統一政権には合意しているものの、自身はリクードであり、先に首相になるのはネタニヤフ首相と考えている。このため、青白党との合意ができずに、国会開会を延期したということである。
しかし、今、エデルステイン国会議長は、23日に国会が開催されたら、すぐにも準備委員会に関する投票を行うことを約束している。