2025年予算案国会通過で総選挙回避:国会外では反政府デモ隊と警察が衝突 2025.3.26

Prime Minister Benjamin Netanyahu arrives for a hearing in his corruption trial at the Tel Aviv District Court, March 24, 2025. (Reuven Kastro/Pool)

2025年度予算案通過:ネタニヤフ首相の勝利

Credit: Olivier Fitoussi

日本政府も2025年度予算でぎりぎりの審議が続いているが、イスラエルも同様だった。

しかし、イスラエル国会は、3月25日(火)午後、政府が出した予算案を、賛成66。反対52で、賛成多数となり、可決した。

3月31日までに可決できなかった場合、ネタニヤフ政権は、解散となり総選挙になるところだったが、これを回避したことになる。ネタニヤフ首相にとって、大貴な前進だと言われている。

総予算は7560億シェケルで、債務を除いて6200億シェケルとなり、昨年度より支出が21%増える形である。

特に今年度も問題となるのが、国防費である。イスラエルは、2024年だけで、ガザでの戦争に310億シェケル(約1兆2400億円)使っていた。このため、2025年ども国防費は1360億シェケルで、このうち1100億シェケルは国防省に計上されている。

ここには、防衛費だけでなく、戦争で家族を失った人々への補償や、予備役兵たちへの補償(仕事を置いて従軍した場合の補償)なども含まれている。

次に多いのは教育省へ、920億シェケル、保健省へ590億シェケルとなっている。国防省以外の省庁では予算がカットされており、その総額は30億シェケルだという。

また政府は、今月初頭、連立与党に50億シェケルを計上しており、そのうち10億シェケルは、ユダヤ教神学校イシバに割り振られていた。これは左派世俗派が、受け入れられるような内容ではない。

また政府は、この1月、予算をカバーするために、VAT(付加価値税で生鮮食品には含まれない)を17%から18%に上げていた。

野党議員たちは、先週再開となったガザへの攻撃に反対しており、人質解放優先のためには、戦争ではなく、停戦と交渉をするべきだと主張している。このため、戦争のために計上されたような、この予算案に賛成しなかった。

野党のラピード氏は、国防費に予算を取られるこの予算に、「イスラエル史上最大の強盗だ」と批判した。この予算案の採択の際、野党議員たちは、まだガザにいる人質59人の写真を掲げて、政府に戦争反対を訴えた。

また、国民統一党のガンツ党首は、「政府は、予算を強行に通過させることで、2026年まで存続を守ろうとしている。(これほど国民の反対がある中で)傲慢だ。」と非難した。

なお、今回、予算案が1発で可決できた背景には、極右政党オツマ・ヤフディ党のベン・グヴィル氏が、先週、連立に復帰したこと。また、それを見て、政権離脱をちらつかせていたユダヤ教政党も、政権に残留することを決めたため、国会での政府側議員が余裕の過半数になったためであった。

www.ynetnews.com/category/3083

www.timesofisrael.com/in-major-success-for-government-knesset-approves-2025-budget-staving-off-elections/

国会外での反政府デモ

エルサレムでは、先週20日(木)に大規模な反政府デモが発生していたが、国会で予算案が審議された時にも、国会前はじめ、首相官邸前など複数地点で、反政府デモが発生していた。

国会前では、デモ隊が道路と国会入り口を封鎖したため、議員たち、特に極右議員たちは、セキュリティに囲まれながら、歩いて国会入りしていた。カッツ防衛相は、ヘリコプターで国会入りしていた。この混乱の中、デモ隊6人が逮捕された。

www.timesofisrael.com/in-major-success-for-government-knesset-approves-2025-budget-staving-off-elections/

石のひとりごと

いつも思うが、ネタニヤフ首相は、ぎりぎりまでいくのだが、最後になって、持ち直すという流れが多いように思う。これは背後に主がおられるということなのか???

ネタニヤフ首相は、反政府デモは左派によるものであり、野党も左派系であることから、ディープステートの陰謀が右派政権を妨害していると言っていた。

何が正しいのか、何がみこころなのかは、ほんとうにわからない。これからも、自分の理解、自分の正義は横に置き、主に耳を傾けて、祈りをすすめていただければと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。