15日安息日明け大規模反政府デモ:ガンツ氏も参加 2024.6.16

Tel Aviv on June 15, 2024. (JACK GUEZ / AFP)

激しい反政府デモ

毎週、安息日明けに行われている、政府に停戦を求めるデモは、今週もテルアビブだけでなく、全国でも数千人規模で行われた。

今の政府の方針に反対を表明して辞任した、野党のベニー・ガンツ氏がスデロットでのデモに参加していた。

以下はテルアビブの様子

この他、デモ隊は、テルアビブとエルサレムを結ぶ1号線、ラナナとテルアビブを結ぶ4号線など、全国で、複数の主要高速道路をブロックし、警察と衝突していた。

デモ隊が訴えていることは、一つではなく、多様になっている。まずは、ハマスと交渉して人質を解放することを最優先にしない政府への怒りである。そもそも10月7日のハマスの殺戮を許してしまったネタニヤフ首相の失策に、激しい怒りを向けている。

また政府は今、超正統派ユダヤ教徒のイシバ生徒らの従軍免除年齢を、現在の26歳から21歳にする政策をすすめる動きにある。

世俗派は、兵役について、次々戦死しているのに、従軍を免除される超正統派は、今より増えるということである。これは不平等だと訴える母親たちもデモに参加していた。

*超正統派の中では、すすんで従軍している人も多数いる。

www.timesofisrael.com/protesters-block-major-highways-and-interchanges-in-call-for-early-elections/

テルアビブでは、北部情勢が悪化する中、政府がまだ思い切った動きをしていないことを不満と訴えるデモもあった。

これについては、今イスラエルが、ヒズボラを撃退しようとレバノンに大規模に踏み込んでも、それがイスラエルに良い結果をもたらすとは考えられないというのが実情だと言われている。いわば、にっちもさっちも動けないという状況のようである。

実際の世論ではない・・?

今の緊急事態の中で、イスラエルでユダヤ人同士が揉み合う様子は、なんとも心痛む様相である。

しかし、こうしたデモは、おおむね左派によるもので、国民の半数近い右派系の人々は、参加していない。中間の人々の多くは、それでもネタニヤフ首相しかないという人は少なくない。

したがって、こうしたデモのニュースは、右派系メディアのニュースには、もはや上がらなくなっている。これが国民全部の意思と言い切れるものではないということも書き加えておく。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。