4/9の総選挙を前に、様々なメディアなどが、世論調査を行っている。8日に行われた新しい世論調査によると、ベニー・ガンツ氏のイスラエルの回復党が、予想議席数を伸ばして23議席。しかし、リクードも強く、2議席増やして、回復党より9議席上の32議席となっている。9議席差があり、30議席以上あれば、政権はリクードにとどまる。
これに続くのは、ヤイル・ラピード氏の未来がある党の11議席。ナフタリ・ベネット氏の新右派党は8議席。左派で、最大野党の労働党は、18議席から転落してわずか7議席となった。これに続くのがユダヤ教政党シャスの6議席。
上位2党がどちらも予想議席数を伸ばしているため、新しい党、小さい党が、議席を失う結果になっている。とばっちりを受けたのは、モシェ・カフロン経財相のクラヌ党。2015年は大きく期待されて10議席だったが、今回は議席数0となった。
かつて、ネタニヤフ首相と首相の座を争うほどだったツィッピー・リブニ氏のハテウナ党も0。アラブ政党は2党が合併すれば12議席である。
www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/258791
<リクード党内選挙>
時期政権もおそらくリクードだが、そのリクートでは、5日、次の総選挙での選挙名簿を決める党内選挙を行った。選挙権のある党員は、11万9000人。全国142カ所で投票が行われた。投票率は58.4%であった。結果は以下の通り。
1位は、ネタニヤフ首相、2位は、国会議長でもあるユリ・エデルステイン氏。3位は、現在交通相のカッツ氏。4位には、現在公衆治安相のギラッド・エルダン氏。
5位に、4年間のブランクを経て政治に復帰したギドン・サル氏。ギドン・サル氏は、ネタニヤフ首相の最大のライバルと目される人物である。
6位には文化相のミリ・レゲブ氏。前エルサレム市長で、国政に転じて間もないニール・バルカット氏も10位以内に入った。
総選挙で、もし今の世論調査のままリクードが最高議席数を獲得した場合、ネタヌヤフ首相が続投ということになる。
そうなると、すでに通算12年、首相の座にいるネタニヤフ首相は、故ベン・グリオン首相の13年を超えて、イスラエル史上、最長の首相ということになる。
しかし、ネタニヤフ首相には審議中の汚職問題があり、マンデルビット司法長官が、総選挙の前に、起訴に踏み切る可能性がある。
そうなれば、リクードは、22議席にまで落ち込むとも予測されるが、2位のガンツ氏(イスラエル回復党)が、3位ラピード氏(未来がある党)とともに中道政党連盟のようなものを組まない限り、リクードを超えることはないとみられている。
<リクードの強さ:人物でなく目標でなりたっている党>
この状況から、Yネットの評論家シュロモー・ピュテルコブスキー氏は、他党では、たとえば、ガンツ氏なしにイスラエル回復党は成り立たず、ラピード氏なしに未来がある党が成り立たないのに比べ、リクードは、たとえ、ネタニヤフ首相が失脚しても、まだまだ強力な役者が揃っているので、党自体がなくなることがないという点に注目する。
これは、リクードが、代表右派として、明確な目的目標に導かれて成り立っているということであり、一人の政治家だけが中心となって成り立っている党ではないということである。
また、リクードの党内選挙では、これまでのところ、現職リーダーを失脚させることはないという。しかし、だからといってその人物に盲目的に屈するということではない。
ネタニヤフ首相は、最大のライバルであるギドン・サル氏の復帰を妨害しようとしたとも言われているが、ギドン・サル氏はしっかり5位に復帰している。要するにリクードは、人物ではなく、党の目的によって存在しているということであり、ここにリクードの強さがあると評価ピュテルコブスキー氏は評価する。
総選挙でリクードが政権を取る前か、後か、いずれにしてもネタニヤフ首相が、近く起訴され、政界から姿を消す日はいずれ来るかもしれない。しかし、その場合でも、リクードは、すぐにふさわしい人物を前に出すことができるはずだとピュテルコブスキー氏は予測している。