西岸地区過激入植者暴力:アメリカ国籍パレスチナ人含む2人死亡 2025.7.12

Settlers hurl stones, reportedly during clashes with Palestinians in the West Bank town of Sinjil on July 11, 2025. (Screen capture: Al-Jarmaq News)

パレスチナ自治政府保健省によると、7月11日(金)、ヨルダン川西岸地区のラマラ北部60号線に近い、パレスチナ人の村、シンジルで、ユダヤ人過激入植者とパレスチナ人の間で衝突があり、パレスチナ人2人が死亡した。

1人は、アメリカ国籍も併せ持つパレスチナ人だった。

パレスチナ側の主張によると、この日、シンジルの近くに、入植者たちが違法な前哨地を設立し始めたため、パレスチナ人たちが抗議した。この地域はB地区で、イスラエル人が住むべきではない地域である。

イスラエルの治安部隊によると、この時にパレスチナ人たちが、イスラエル人たちに投石し、2人が負傷したとのこと。

これを受けて、数人の入植者たちが、パレスチナ人たちに向かって反撃の投石を始めた。さらには、住居に落書きしたり、放火した。

この時、サイフ・アル・ディン・カミル・アブドゥル・カリム・ムスラト(23)が、集団リンチされ全身打撲の重傷となった。

モハンマド・シャラビ(23)は、銃撃されて死亡した。以下の写真は、リンチで死亡した、アブドゥル・カリム・ムスラトさん

その後、重傷のムスラトさんを搬送しようと、パレスチナの救急車が来たが、入植者たちは、救急車の窓ガラスを破るなどして通行を妨害。

イスラエルの治安部隊が駆けつけて、衝突を落ち着かせようとした。パレスチナ自治警察も来たが、イスラエル軍が、そちらの介入は阻止したとの報告もある。

救急車は、約4時間後にムサラトさんのところに到達できたが、ムサラトさんは、その時に、最後の息を引き取ったとのこと。

なお、入植者たちは、先週にもシンジルになだれ込んで、放火するなどの暴力に及び、パレスチナ人との衝突になっていた。しかし、前も今回も、逮捕された者の報告はない。

Times of Israelはまた別に地域で、入植者たちが、7つのパレスチナ人居住地に水を流すパイプラインを破壊。水が届かなくなったことから、それらの市職員たちが、パイプラインに近づこうとしたところ、警備のイスラエル兵たちが、それを妨害する様子も伝えていた。

10月7日以来、イスラエル治安部隊とパレスチナ人たちとの衝突は激増している。

逮捕されたパレスチナ人は、6000人以上で、死者は950人。一方、イスラエル人も治安関係者含め53人が死亡している。

www.timesofisrael.com/two-palestinians-including-us-citizen-killed-by-settlers-in-west-bank-attack-pa/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。