西岸地区・誘拐事件・11日目 2014.6.23

イスラエル軍は、安息日の土曜、ヘブロン近郊の村をほぼ閉鎖し、さらに兵士を送り込んで捜索を行った。家々の他、洞穴や、物陰など、文字通りしらみつぶしの捜索が行われたが、3人はまだみつかっていない。

昨夜は、ハマス関係者9人の逮捕の他、ハマスの慈善事業の5施設も抑え、現金を含めて押収し、ハマスの徹底的な一掃作戦を継続した。

これまでの逮捕者は計350人、捜索家屋は1400軒となった。また、ヘブロンいったいでは、ガザ地区にあるような地下トンネルや武器を多数発見・摘発している。

しかし昨夜もラマラとナブルスでイスラエル軍とパレスチナ人との衝突が発生。パレスチナ人2人が死亡し、11人が負傷した。

<パレスチナ人がパレスチナ自治警察を襲撃>www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4533163,00.html

アッバス議長は、イスラエルの捜索活動には協力するとの方針を変えていない。

また、パレスチナ自治政府のマルキ外相は、ハマスが脅迫した第三インティファーダについて、「アッバス議長がいる限り、第3インティファーダにはならない。もし本当にイスラエル人3人を誘拐したのがハマスだとわかれば、統一政府の継続は不可能だとの見解も語った。http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182001#.U6cPJ6W9BCs

22日、こうしたイスラエルに協力するアッバス議長の方針に反発するパレスチナ人らが、パレスチナ自治警察の車両や警察署に投石して反発した。自治警察も発砲して対処している。https://www.youtube.com/watch?v=0ucz6LzyFfQ

<ガザのハマスは徐々に窮地か>

ガザからは、連日ロケット弾が、イスラエル南部に飛来している。しかし、複数はイスラエルに届かず、ガザ地区内部に着弾している。イスラエルまで届いたものも、今のところ、空き地に落ちるか、迎撃ミサイルがカバーしている。

一方、日曜、ガザから武装したテロリストがイスラエル領内への侵入に成功していたことがわかった。テロリストは逮捕された。

これに先立つ20日、ガザ地区では、イスラエルに続く地下トンネルが崩れて、ハマス戦闘員5人が死亡している。

現在、イスラエルは西岸地区のハマスをその経済力も含めての一掃を行っている。ハマスはエジプトに協力を求めたようだが、エジプトは、国境を閉じたままで、ハマスに協力する気配がない。

ハマスは追いつめられつつある。もし追いつめられたハマスが、イスラエルに最後の反撃に出れば、イスラエル軍はそれを機にガザ内部への侵攻作戦を行うのではないかという分析もある。

<エジプト:ムスリム同胞団を一掃中>

イスラエルはハマスの一掃作戦を行っているが、エジプトは、その母体であるムスリム同胞団(MB)を一掃している。しかし、イスラエルと違って、エジプトのシシ大統領(元エジプト軍総司令官)は、MBメンバーを逮捕した後、多くを死刑に処している。

今週、これまでで最高となる183人の処刑を発表し、世界を震撼させている。

ケリー国務長官が、日曜、予定外にシシ大統領を訪問した。”いろいろ話し合った”という。アメリカは、ムルシ大統領失脚以来、凍結していたエジプトへの軍事支援を再開した。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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