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イラン情勢が緊迫する中、足元の西岸地区でのパレスチナ人との紛争がエスカレートしており、アメリカも、この流れに憂慮を表明しているほどになっている。
イスラエル兵満載のバス襲撃
特に先週からは、パレスチナ人がイスラエル兵らを襲撃する事件が、ほぼ毎日のように続いている中、4日(日曜)、ラマラ北西の入植地ハラミシュに近い、ヨルダン渓谷の主要道路(578号線)で、イスラエル兵を満載した大型バスに向かって銃撃され、民間人バス運転手とイスラエル兵7人が負傷した。
調べによると、襲撃してきたのはバスの背後から近づいてきたパレスチナ人の車で、目撃者の証言によると、車内にいたパレスチナ人は、火炎瓶のようなものを投げつけようとしていたとのことで、バス全体を炎上させる計画であった可能性がある。
銃撃を受けて、イスラエル兵たちはただちに、攻撃元の車へ反撃を行い、車はまもなく炎上。乗っていたパレスチナ人3人は脱出した。このうち、2人は、かけつけた警察とイスラエル軍に数分後に、逮捕されたが、1人はまだ逃亡中である。
逮捕された2人は、火傷を負っていたことから、まずは病院へ搬送されたとのこと。3人は家族で、父と息子とその従兄弟であった。このうち、まだ逃亡中なのは、父親1人である。パレスチナメディアは、逮捕された2人は、モハンマドとワリード・タークマンと伝えている。
この攻撃で負傷したイスラエル兵1人は重傷。バス運転手と兵士1人が中等度の負傷。4人はけいヘリで病院へ搬送され、容体は落ち着いている。その他の5人は、銃撃の際のガラスの破片で負傷したが、軽症とのことである。
www.timesofisrael.com/shots-fired-at-israeli-bus-in-jordan-valley-at-least-two-moderately-hurt/
www.ynetnews.com/article/syfmyhfgo#autoplay
この後、イスラエル軍は、事件が発生したラマラ北西部周辺の道路を封鎖して、逃亡中の1人を捜索を行っている。しかし、その後も、その部隊に、パレスチナ人らが、爆発物を投げて、イスラエル兵4人が負傷した。
ラピード首相もガンツ防衛相も、イスラエル市民や兵士を傷つけようとする者への厳しい対処は今後も続けるとの方針を表明している。
先週から急増:イスラエル兵を襲うテロ事件6回
お伝えしてきたように、パレスチナ自治政府の主導権が落ちていることにより、イスラエル軍が西岸地区、主に、ナブルスとジェニンに入って、テロリストとその組織、違法に持ち込まれる武器摘発を、継続して行っている。
しかし、先週から、パレスチナ人が、西岸地区にいるイスラエル兵に襲いかかる事件が急増。最後は2日でヘブロンでパレスチナ人がイスラエル兵をナイフで襲った事件で、わずか1週間の間に6件に及んでいる。こうした事件では、襲ったパレスチナ人は、反撃を受けてその場で死亡するか、逮捕されている。
www.jpost.com/israel-news/article-716043
パレスチナ自治政府によると、今年に入ってからだけで、少なくとも85人のパレスチナ人が死亡。このうち17人は18歳以下の未成年で、6人は女性と伝えている。また、パレスチナ系NGOが、発表したところによると、イスラエルに逮捕されているパレスチナ人は、5月23日時点で、1228人と報じていたので、今はもっと多いはずである。
www.aa.com.tr/en/middle-east/over-1-200-palestinians-held-by-israel-last-month-ngos/2595150
しかし、イスラエルの方でも、8月だけで、市民19人が、国内でのテロで死亡しているわけである。また、友軍による誤射で、イスラエル兵が死亡するなど悲しい事件にも発生している。
ガザでハマスがパレスチナ人5人公開処刑:2人はイスラエルとの協力の罪
一方、ガザでは、4日、ハマスが、イスラエルに通じているとして、パレスチナ人5人を処刑したとのニュースが流れた。5人のうち、3人は殺人罪だが、2人はイスラエルに協力した罪であったという。イスラエルのパレスチナ擁護団体ベツアルエルのよると、こうした処刑は、5年ぶりだった。
パレスチナ人のイスラエルへの憎しみは、彼らのアイデンティティに関係している一面もあり、悪化はしても終わる様子はない。今の対立悪化のエスカレートについて「インティファーダ」再来?といった言葉を出している記事もある。このままかつての時代のような大きな自爆テロにならないよう、とりなしが必要かもしれない。
石のひとりごと
パレスチナ人との衝突が悪化しているが、時期的にも、やはり背後でイランがなにか操っているのではないかと考えてしまう。
現在、イランは、世界大国との核合意交渉が山場を迎えており、合意になるかならないかの瀬戸際にある。イスラエルは、合意になるのを待つまでもなく、シリア領内のイラン関連施設破壊を、以前よりも大胆に、また頻回に行っている。
イスラエルは、アメリカにもイランの核関連施設は武力で破壊するしかないと訴えており、もしかしたらアメリカもその方向へ動き始めている気配もある。
こうした中で、イランが、パレスチナ人を利用して、イスラエルに大きな負担を負わせ、かつ、世界の批判がイスラエルに向くようにして、イランへの厳しい目をそらせようとしているのではないか。また、イスラエルとアメリカとの関係にも、水を差そうとしているのではないか・・と石は想像してしまうのである。
ところで、イスラエルの兵役は、主に徴兵であり、国民の義務とされている。西岸地区に入っていくイスラエル兵たちは、職業軍人よりも、極普通の家庭の大学生ぐらいの青年たちが徴兵されて行っている人がほどんどである。それがこれほどに危険な任務についているということである。
一方、パレスチナ人の方も、ただイスラエル兵であるということ以外、その兵士のことは何も知らないのに、攻撃をしかけて、多くは命を落とすことになる。殺してしまったイスラエル兵もその後、一生その思いを担いでいくことになる。
なんとも、ナンセンスな繰り返しで、このクレイジーを止められないのか。。と苛立ちを覚える。背後に苦しみしかもたらさない霊的な悪があるということなのだろう。