複雑なゴラン高原のドルーズ族 2012.7.31

イスラエルのゴラン高原には多数の元シリア国籍のドルーズ族が住んでいる。彼らは、六日戦争でイスラエルがゴラン高原の主権を取ったとき、シリア側とイスラエル側に分断された民族である。

したがって彼らの多くは、親アサド派で、イスラエル国籍を持ちながらも、静かにイスラエルに対し反抗してきたのであった。昨日も、イスラエル軍のゴラン高原での情報を、シリアに流していたドルーズ族の男が逮捕された。

しかし、アサド政権が、風前の灯火となっているのを受けて、ゴラン高原のドルーズ族たちの立場が複雑になってきている。

<イスラエルに”帰国”できないシリアのドルーズ族留学生>

ゴラン高原のドルーズ族は、イスラエルのハイファ大学で学ぶことができるが、シリアのダマスカス大学でも学ぶという特権を持っている。そうした学生が、今もダマスカスに100人取り残されているという。

学生の家族たちは、なんとか学生をイスラエルに呼び戻してほしいと、イスラエルとシリアの国境通過地点である「クネイトラ」を管理する赤十字に陳情を出している。しかしダマスカスから、クネイトラへの道が遮断されており、学生たちのイスラエルへの”帰国”はまだ実現していない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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