苦難に負けないイスラエルの人々:85歳でガザから帰国した人質女性・病院から退院:夫を殺された女性が第4子出産 2024.5.10

Ella Haimi with her newborn (Photo: Yair Sagi)

恐ろしい犯罪行為の被害者であるのに、それは忘れられて、反撃したら、逆に責められているイスラエル。これほどに世界から非難されたら、日本人なら、どうしているだろうか。

エルマ・アブラハムさん(85)は、10月7日、家にハマスが侵入してきたとき、隠れていた部屋の扉を押さえていたが、こじら蹴られて、拉致された。11月26日に人質交換で帰国したものの、その時点ですでに瀕死状態にあった。以後、すっとソローカ病院にいたが、5ヶ月後の8日、無事、退院することができた。

エルマさんは、ガザにいたとき、アパートを4-5回移動させられたという。その間、無理やり、コーランを読まされたと証言している。その文章は、イスラムに改宗したことを告白するという一文だったとみられる。「今日からイスラムになった」と言われたとのこと。

www.timesofisrael.com/planning-to-dance-freed-hostage-elma-avraham-85-leaves-hospital-after-5-months/

高齢だからといって、自分も周囲もあきらめてしまわないのが、ユダヤ人である。

この他、エラ・ハイミさんの夫、タルさんは、治安部隊で、ハマスの侵入の際、戦いに出て行って殺されてしまった。エラさんは、それから7ヶ月後、無事4人目の子供(男の子)を出産した。その他の子どもたちは、10歳の双子、7歳だという。夫がいないことの寂しさを訴えながらもこの笑顔である。

www.ynetnews.com/article/hjjlw8rzr

以前の記事で、ガザ国境から避難中の女性たちが、避難中に産んだ赤ちゃんが15人と報告していた。

イスラエルでは、このような女性を国だけでなく、多くの支援者が支えるので、生活に心配はもしかしたら日本ほど深刻ではないかもしれない。

こうした姿からは、ホロコーストを経験した女性たちの様子を思い出す。ヨーロッパでホロコーストを経験したユダヤ人女性たちは、難民キャンプの中で、次々に結婚し、戦後から1948年までに1000人の子供を産んでいたという(Yad Vashem)。当時世界で最大の出産率だった。これこそが、ユダヤ人を殺しにくる者に対する最大の勝利だと言っていた。

www.ynetnews.com/article/hjjlw8rzr

不条理や、あまりにも厳しすぎる現状に負けない人々である。いつもながら感動させられる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。