続報・ヨルダン国境テロで父親3人死亡:国境閉鎖でパレスチナ人の人流と物流に影響 2024.9.9

アレンビーブリッジでのテロ犠牲者3人は父親たち

(photo credit: REUTERS/Ronen Zvulun)

8日朝、西岸地区エリコに近い、イスラエルとヨルダンの国境にある検問所、アレンビーブリッジ(キング・フセインブリッジ)で発生した銃撃テロ。

被害者は、ヨハナン・シュコリさん(61)、ユリ・ブリンバウムさん(65)、アドリアン・マルセロ・ポドザムツメセルさん(57)と判明した。

シュコリさんは、6人の父親で、被災した検問所の貨物マネージャーだった。ブリンバウムさんは、3人の父親で、貨物部門労働者だった。ポドツメセルさんは、4人の父親であった。

テロリストは、ヨルダン人で、ペトラに近いウドウルア出身のマハル・アヒアブ・フセイン・アル・ジャジ(39)。イスラエル軍は、マハルが使った拳銃を公開した。また以下は、貨物セクションでの銃撃時の様子。

ハマスとイスラム聖戦は、「勇敢なヨルダン人による行動」としてこのテロへの歓迎を表明した。ハマスは、その声明の中で、「ナチ・シオニストが、ガザと占領地の西岸地区で行ったホロコーストと、アルアクサモスクをユダヤ化しようとする計画への自然な反応だ」と述べた。

さらには、アラブ人とイスラム諸国に対し、パレスチナ人を支援するために立ち上がるよう、呼びかけた。

www.timesofisrael.com/3-israelis-killed-in-terror-shooting-at-crossing-between-west-bank-and-jordan/

現在、イスラエルとヨルダンは双方で、アレンビーブリッジを閉鎖して、捜査を進めている。両国の間には平和条約があるため、互いに連絡は取り合っているという。しかし、ヨルダンは、現時点ではまだテロ事件ではなく、「銃撃事件」という取り扱いになっている。

ヨルダン国民の70%はパレスチナ人であることから、ガザと西岸地区の緊張が、ヨルダンにも関係してくること、特に国境での事件が発生する可能性が、以前より懸念されていた。ヨルダンでは、このテロのあと、菓子を配って祝う様子もみられている。

10月7日から今日までの間に、パレスチナ人のテロで死亡したイスラエル市民と治安関係者は32人。

ネタニヤフ首相は、閣議において、「殺人者たちは、私たちを殺しにくる。左派だろうが右派だろうが、宗教的であろうが、世俗的であろうが関係ない。ユダヤ人か、そうでないかだけだ(ユダヤ人であるというだけで殺される)」と語った。

www.ynetnews.com/article/s1bnpwshr

アレンビーブリッジ検問所閉鎖による物流・人流停止の混乱

テロ事件を受けて、8日(日)、アレンビーブリッジは、イスラエル側、ヨルダン側双方で閉鎖され、捜査が行われている。

ヨルダンとの国境は、この他南部、エイラットに近いところにラビン検問所があるがこちらも閉鎖されている。

2つの検問所のうち、アレンビーブリッジは、パレスチナ人がヨルダンへ行き来する唯一の国境で、毎日1万4000人がヨルダンへ行き来している。

またイスラエルとヨルダンの物流もこの検問所を通るため、関係する労働者25万人に影響することになった。

閉鎖が長引き、経済に影響がで始めれば、紛争がさらにヨルダンがらみになっていくことが懸念される。

www.ynetnews.com/article/hjhnves3a

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。