非公式ではあるが、トランプ大統領が、最新鋭F35ステルス戦闘機をUAEに売却する案を議会に提出。議会がこれを認めたことがわかった。その額は104億ドルになるともみられている。
敵のレーダーまでくぐり抜けることのできるF35戦闘機は、イランとの対立が続くUAEにとっては、喉から手がでるほどの武器である。
しかし、イスラエルにとっては、最新鋭F35が、いくら国交が始まったとはいえ、アラブ側に渡ることは、好ましい状況ではない。中東ではイスラエルが最強という図式が変わってしまうからである。
これまでの米政権は、この点に配慮し、中東においては、最新鋭武器は、イスラエルのみが配備する形を維持してきたのであった。ところが、今、トランプ大統領はこの伝統を壊そうとしているのである。
これについて、ネタニヤフ首相は、イランとの対立が危機的になっている以上、国交を回復したアラブ諸国にもF35が配備されることは、イスラエルの治安のためでもあるとの考えである。
しかし、国内の反発に妨害されないよう、当初、この話を、国防を担当するガンツ防衛相にすら、隠していたことが問題になっている。
今、湾岸諸国でけでなく、スーダンとイスラエルの国交正常化も進んでいる。トランプ大統領は、さらにアラブ諸国から10カ国はこれに続く可能性があると言っている。
これらすべての国がF35を配備するようになることは、アメリカにとっては大儲けかもしれないが、イスラエルにとっては、非常に大きなリスクになりうる。
<米”イスラエルの治安は保証する”:アメリカのエスパー国防相>
この件で先週、ガンツ防衛相は、2回目となるワシントンを訪問を実施して、アメリカのエスパー国防相と会談。ガンツ防衛相は、F35のアラブ諸国への販売に関するイスラエルの懸念を伝えた。
これについて、エスパー国防相は、アメリカとイスラエルは、ともにイランの脅威と戦っていかなければならないと述べた。また、アメリカはイスラエルの防衛を第一に考えているとして、アメリカは、すでに約束しているF35のイスラエルへの提供についての具体的な日程を表明した。
それによると、すでにイスラエルに約束されている、50機のうち、27機を、11月中に、27機をイスラエルに配備する。これにより、2024年までに、今ひとつしかないF35の飛行隊を、2024年までに2部隊に増やすことを目標にする。
早く配備できれば、それだけ早く訓練もできるので、アラブ諸国よりまだ上をいく体制が維持できるということのようである。加えて、イスラエルが、アメリカの衛星情報システムにもアクセスできるとの新たな協力関係にも合意したとの情報もある。
これらのことで合意できたため、イスラエルは、UAEへのF35配備への反対を取り下げると発表。ガンツ防衛相と、エスパー国防相は、先週、互いに合意書に署名した。
続いて今週29日には、エスパー国防相が、中東を歴訪する中、ベングリオン空港に降り立ち、ガンツ防衛相と会談。両国の関係をアピールした。
<石のひとりごと>
F35のアラブ諸国への流出について、一応の結論がでたようである。アメリカにとっては、イスラエルは唯一の足掛かりなので、そう簡単に見捨てることはないだろう。今後も両国の協力関係が続くようにと思う。