第39回世界シオニスト機構(WZO)会議:日本からユダヤ機関に貢献の道も 2025.11.12

The opening event of the 39th World Zionist Congress in Jerusalem, October 28, 2025. (Zev Stub/ Times of Israel)

第39回 WZO(世界シオニスト機構)会議がエルサレムで開催

少し前になるが、エルサレムでは、10月28日(火)から30日(木)まで、第39回目になるWorld Zionist Organization(WZO世界シオニスト機構)のCongress(会議)が行われた。

WZOは、1897年にイスラエル建国の父、テオドール・ヘルツェルが設立したもので、世界最大のユダヤ人団体である。シオニズムとは何かなど、基本的なことが話し合われる他、各地での現状も報告される。

また、WZOの運営機関であるユダヤ機関、ケレン・ハヤソッドといった、世界的なユダヤ人組織の新たな指導者が決まり、WZOを通じて配分される10億ドルの分配や、新しい人事も決められる。

参加者は42カ国からだったが、今年は特にアメリカから155団体の代表者たちが集まり、アメリカからの参加はこれまでで最大を記録した。

www.wzo.org.il/sub/39th-zionist-congress/home/en

この他、ユダヤ人の次世代若者2500人が集まった。海外で暮らすユダヤ人たちが、エルサレムに集まることで、自分のアイデンティティや、ユダヤ人国家の将来などへの確信を持つ時となった。

しかし、ディアスポラ(イスラエルではない世界各地に住むユダヤ人)の間では、今のネタニヤフ政権が、右傾化していることで批判的な人も少なくないことから、今回、ネタニヤフ首相は、初日演説を辞退したとのこと。

また今年は、WZOの代表候補に、問題の多い、ネタニヤフ首相の息子のヤイール・ネタニヤフ氏の名前が上がり、大炎上となった。最終的に、ヤイール・ネタニヤフ氏を候補から外す形で候補者名を発表するという内輪揉めもあった。

www.timesofisrael.com/delegates-descend-on-world-zionist-congress-for-largest-ever-plenum-on-jewish-future/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=7

One New Man Family・日本からユダヤ機関に貢献の道も

WZOの重要な組織であるユダヤ機関がある。1929年に、世界各地に散らばっているディアスポラのユダヤ人を、助けるために立ち上げられた。

ユダヤ機関は、ホロコースト時代、多くのユダヤ人を助けた。1935年からの執行委員長は、ベン・グリオンである。後にイスラエルになるパレスチナ地域に移住しようとするユダヤ人を支援した。

The Jewish Agency building in Jerusalem. Photo credit: Jason

1948年にイスラエルが独立すると、アラブ諸国やヨーロッパなどからイスラエルへ移住するユダヤ人を支援した。このうち400万人は、ユダヤ機関を介しての移住であったと言われている。

エルサレム日本部があり、世界各地にオフィスが置かれている。

ユダヤ機関の活動は、各地にいるユダヤ人たちの献金が支えていた。どの家庭にもユダヤ機関のための貯金箱があり、子供の頃から、ユダヤ人同士で助け合うこの組織に献金をすることが習慣のようになっていたという。

イスラエルが建国した後、ユダヤ機関は、イスラエルの純国家組織になったが、政府からの経済的な支援は、受けていないという。今もWZOの部門であるケレン・カヤソッドや、IFNA(北米ユダヤ人連盟)などを通じて送られてくる献金で、活動が行われている。

しかし、近年では、ウクライナやロシアなどからの移住はじめ、欧米からも移住者が増えていることから、経済的にも回らなくなっているという。こうした中、福音派クリスチャンによる支援が信頼を得る時代に入り、ユダヤ機関が、クリスチャンからの支援も受け入れるようになっている。

アジアでは、韓国のソル・ウンス牧師(写真HPより)が、ユダヤ機関のデボラ・ガナーニ氏との出会いから、2018年にOne New Man Familyという組織を立ち上げ、アジア在住のクリスチャンからの献金を、ユダヤ機関に送ることが可能となった。

デボラ・ガナーニ氏は、ユダヤ機関クリスチャン親善大使である。

One New Man Family は、ユダヤ人とクリスチャンが一つになるというエペソ書2:15-16を元に活動している。

onmfj.com

活動のすべては、公式のユダヤ機関の働きを支援する形で、行われている。これまでに、ユダヤ人のイスラエル移住(アリヤ)を実現し、同行もしている。

最近では、ロシア、キューバ、南アフリカ、オーストラリアからの移住を支援している。

この他、移住後の定着、また戦争被害者やテロ被害者への支援も行っている。特にこの2年ガザでの戦争で、負傷し、PTSDなどで心に傷を負った兵士やその家族の支援も行っている。またメシアニック・ジューへの支援も挙げられている。

One New Man Familyは、ソル牧師の関係などから、韓国支部、アメリカ支部に続いて、日本支部も立ち上がった。日本から、日本円のままで献金が可能となっている。

日本のクリスチャンも活動に参加している。以下はその様子。

*献金は以下より 送金すると、どの分野に献金したいかとの返事が来るので指定可能。献金すると日本語によるニュースレター、祈りの課題が届くようになる。

三井住友銀行
【店名】 明石支店 (アカシ)
【店番号】 425
【預金種目】 普通預金
【口座番号】 7362823
【口座名】 ワンニユーマンフアミリージヤパン

ゆうちょ銀行(郵便局以外の銀行から送金する場合)
【店名】 〇一八(読みゼロイチハチ)
【店番】 018
【預金種目】 普通預金
【口座番号】 8862565
【口座名】 ワンニユーマンフアミリージヤパン

ゆうちょ銀行から送金する場合
【記号】 10150
【番号】 88625651
【口座名】 ワンニユーマンフアミリージヤパン

石のひとりごと

私ごとになるが、筆者は、1989年に、イスラエルの友人を通じて、ユダヤ機関と、カレン・ハヤソッドが協力?して行っていた移住プログラムに特別中の特別で入れてもらって、イスラエル入りを果たした。

その間に、イスラエルで救われたのだが、そのころの生活はユダヤ機関に支えられていたということなのである。そうして、すべてはそこから始まった。個人的には、本当に深い恩義を感じている。

それから35年以上を経た数年前、このWZOのエルサレムでの年次集会を取材し、イスラエルという国がいかに世界中に波及する巨大な国であるかを、改めて実感させられた。

主の目に、イスラエルは、やはり大きいと実感した。この国の背後には主がおられるのだが、それだけでなく、その実際の大きさからも、この国に逆らうことは懸命ではないと言わざるを得ない。

そこに今、アジアからも関与する道ができたという。教会が反ユダヤ主義に関わってきた経過もあり、クリスチャンを敵視してきたであろう、ユダヤ機関にとって、これは、非常に大きな転換で、時代の変化を実感する。

しかし、これに先立ち、日本にも支部があるBFP(ブリッジスフォーピース)などの先駆的クリスチャン団体の忍耐ある、イスラエル支援の下積み時代があったことを忘れてはならない。

BFPも続けて、イスラエルでの働きを続けているので、主の導きに従い、それぞれの働きを支えていただければと思う。

www.bfpj.org

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。